体操の種目別W杯男子平行棒に出場したイワン・クリアク(ロシア)のユニフォームが物議をかもしている。
クリアクは2022年3月5日に行われた男子平行棒で銅メダルを獲得し、表彰式に胸の部分に「Z」のマークが入ったユニフォーム姿で登場した。表彰式では優勝したウクライナのイリア・コフトゥンと並んでメダルを授与した。
「スポーツと政治は別であると叫ばれないように」
「Z」マークはロシアでは勝利を意味するとされ、ウクライナを侵攻するロシア軍の戦車や軍用車の側面に描かれているため政治的なメッセージが込められている可能性があるとして非難が相次いだ。
国際体操連盟(FIG)はクリアクの行為を「衝撃的な行動」と指摘し、3月6日に公式サイトでクリアクの懲戒手続きを開始するよう体操倫理財団に求めることを発表した。
クリアクの行為に対して16年リオデジャネイロ五輪の男子平行棒金メダリスト、オレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)がSNSで怒りを滲ませた。
6日に更新したインスタグラムに「Z」マークの入ったユニフォームを着用したクリアクの画像と表彰台で金メダルのコフトゥンとクリアクの2ショット画像を添付し、「ロシア人にスポーツと政治は別であると叫ばれないようにしてください」などのコメントを投稿した。
「常にウクライナのコーチに挑発されました」
一方、ロシアサイドは大会中にロシアの選手がウクライナのコーチから挑発や侮辱を受けたと主張している。
ロシア通信社「RIAノーボスチ」(WEB版)は、記事の中でロシア代表チームのヘッドコーチを務めたバレンティーナ・ロディオネンコ氏のコメントを掲載。
記事によると、オディオネンコ氏は「私たちのアスリートは常にウクライナのコーチに挑発されました。彼らは私たちの国を侮辱し、不快なことを言いました。大会は政治ではなくスポーツについて考える必要があるが、彼らを止めることはできなかった」と語ったという。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受け、FIGはロシアとベラルーシに対して3月7日以降に開催されるFIG主催の大会、または制裁の対象となる大会の出場を禁じている。