2022年3月7日放送の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(NHK)で、大部屋俳優の伴虚無蔵(松重豊さん)が「真の侍」について語った言葉に反響があがっている。
五十嵐「今はまだ結婚できない」
俳優の上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんが3世代ヒロインを演じる同作。ラジオ英語講座を題材に、100年にわたる家族の物語をハートフルに描く。
※以下ネタバレを含みます。
時代劇俳優としての仕事もなく、映画村のお化け屋敷で客を驚かせるばかりの日々に不満を募らせる五十嵐(本郷奏多さん)。ひなた(川栄さん)は「1秒でも長く文ちゃんと一緒にいたい。文ちゃんと暮らしたい」と気持ちを伝えるが、五十嵐は「今はまだ結婚できない。大部屋のままじゃダメなんだ」と俳優として一人前になるまで結婚は考えていない様子。
しかし、ひなたは「じゃあ、あれは何やったん?『お金がなくても、仕事がなくても、私を幸せにする。せやから、ついてきてほしい』て」と五十嵐の言葉を述懐する。「私、平気やで。お金なんかなくても、仕事なんかなくても、文ちゃんといられたらそれだけで」と優しく主張するが、五十嵐から「ひなた。わかってほしい。俺は侍でいたいんだ」と返され、言葉がなくなってしまう。
「おひなを泣かすな」
後日、いつもと様子が違う五十嵐を見かねた虚無蔵が話しかけると、五十嵐は「何で耐えられるんですか? こんな屈辱に」と、何十年もスポットライトを浴びていない虚無蔵が時代劇俳優を続けていることに疑問を呈す。すると虚無蔵は「傘張り浪人とて刀を携えておる限りは侍だ。あべこべにいくら刀を振り回しておっても、愛しいおなごを泣かす者は真の侍にあらず」と語った上で、「おひな(ひなた)を泣かすな」と諭すのだった。
仕事も恋愛も、複雑な気持ちを抱える五十嵐にそっと寄り添うような虚無蔵の言葉に、視聴者からはインターネット上で「『屈辱』とついに口にしてしまう五十嵐を窘めることはいくらでもできただろう虚無さん、『おひなを泣かすな』に留めるあたりさすがの武士... やはり斬られ役数十年は違う」「虚無さんの『おひなを泣かすな』がカッコ良すぎて」「人の色恋沙汰に口出さない感じの虚無さんが『おひなを泣かすな』って」「虚無蔵さんの心に刻みたい名言」「虚無蔵さん見てないようでちゃんと見てる。五十嵐は青すぎてあの境地は理解できないんだよなぁ。 ひなたを気にかけてる虚無蔵さん。心底侍である」などと感動する声があがっている。