「おひなを泣かすな」
後日、いつもと様子が違う五十嵐を見かねた虚無蔵が話しかけると、五十嵐は「何で耐えられるんですか? こんな屈辱に」と、何十年もスポットライトを浴びていない虚無蔵が時代劇俳優を続けていることに疑問を呈す。すると虚無蔵は「傘張り浪人とて刀を携えておる限りは侍だ。あべこべにいくら刀を振り回しておっても、愛しいおなごを泣かす者は真の侍にあらず」と語った上で、「おひな(ひなた)を泣かすな」と諭すのだった。
仕事も恋愛も、複雑な気持ちを抱える五十嵐にそっと寄り添うような虚無蔵の言葉に、視聴者からはインターネット上で「『屈辱』とついに口にしてしまう五十嵐を窘めることはいくらでもできただろう虚無さん、『おひなを泣かすな』に留めるあたりさすがの武士... やはり斬られ役数十年は違う」「虚無さんの『おひなを泣かすな』がカッコ良すぎて」「人の色恋沙汰に口出さない感じの虚無さんが『おひなを泣かすな』って」「虚無蔵さんの心に刻みたい名言」「虚無蔵さん見てないようでちゃんと見てる。五十嵐は青すぎてあの境地は理解できないんだよなぁ。 ひなたを気にかけてる虚無蔵さん。心底侍である」などと感動する声があがっている。