東日本大震災の被災地・宮城県女川町で震災直後から放送を続けてきたラジオ番組「おながわなう。」が2022年3月末で放送を終了する。
番組を手がける団体・OnagawaFMは「復興する町のいまを現地から伝えるという番組の役割を終えた」と理由を説明する。ツイッターでは「お疲れ様でした」「沢山の元気をいただきました」と、11年間の放送を労う声が広がっている。
番組パーソナリティーは地元住民
女川町は2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた。11年4月21日に町民の情報不足解消を目的に、臨時災害放送局「女川さいがいFM」が開局した。看板番組「おながわなう。」では地元住民がパーソナリティーとなり、地域の情報を発信。町の復興に関心を持つ町内外のリスナーから人気を集めた。
16年3月に女川さいがいFMは閉局したものの、番組は「onagawa now!」と名を改め、同年4月から地元ラジオ局・TBCラジオで放送を継続。21年4月には「おながわなう復幸RADIO」に改称し、地元の若者をパーソナリティーに起用するなど、復興が進む町の現状を伝えてきた。
しかし、22年3月5日の放送の中で、番組が3月末で終了すると発表された。OnagawaFMの公式ツイッターも同日、「2011年4月21日の女川さいがいFM開局から途切れることなく続けてきましたonagawafm のラジオ番組おながわなう。は、復興する町のいまを現地から伝えるという番組の役割を終えたと考え、3月末で終了することになりました」と番組の終了を伝え、「災害FM時代から応援して下さった全ての皆様ありがとうございました」と感謝した。
「また女川に遊びに」「最後まで走りきってください!」
被災地の現状を伝えるラジオ番組として、全国にリスナーを持っていた「おながわなう。」。ツイッター上では「沢山の元気をいただきました」「時の流れを感じます」「また女川に遊びに行きますね」「お疲れ様でした」「最後まで走りきってください!」などの声が聞かれている。
福島県南相馬市在住で、かつて女川さいがいFMでも自身の出演するラジオ番組が放送されていた作家の柳美里さんは7日、ツイッターで「おつかれさまでした。また、女川に行きます」と番組の終了をねぎらった。歌手の矢野顕子さんも6日、ツイッターで「いつか行って出演しますねって何年も前に言ったのを、実行できなくてごめんなさい」と思いを口にした。
女川町は震災で町内240ヘクタールが被害を受け、死者・行方不明者は827人にのぼった。震災後はJR女川駅前を中心に大規模なかさ上げ工事が行われ、19年に町の復興計画が完了している。