「飽きずにお弁当の時間を楽しめる」
まずは「(環境に)慣れてない上に嫌いなものを食べなくてはいけないとなると精神的なハードルが高すぎるので、食べられない野菜を入れることは諦めました」と、食べてもらうことに重点を置いた。するとお弁当の色味が白と茶色に偏り、「これでは食欲が湧かない」と悩むことに。
園児向けの可愛いお弁当を特集した本を参考にするも、作業量の多さに心が折れそうになった。しかし読み進めるうちに、おにぎりのラップにイラストを描くという方法を発見する。海岸さんは、
「これならペンさえあればそれほど手間と時間をかけずに息子の大好きな電車を描けるし、日替わりで色々な電車を描けば飽きずにお弁当の時間を楽しめる」
と光明を見出し、5月上旬ごろから絵を描き始める。
「電車のおにぎり」を入れるようになった頃からは「ほぼ毎日お弁当を完食できるようになりました」。量を調整するといった工夫を前提に、イラストは「食事に対しての意欲を出すきっかけ」になったとする。
息子の反応については「特に感想などを言ってくれるというわけではない」が、
「時々、食べた後のラップをお弁当箱の蓋の裏にきれいに伸ばして貼り付けて帰ってきたり、寝る前の時間に次の日の絵のリクエストをくれたりする」
という。ほかにも、取り組みのやりがいとして息子の様子を次のように述べた。
「幼稚園から帰った後、その日おにぎりに描いた電車をクレヨンでひたすら描いていることがあって、それがとても細かいパーツまでよく描けていて、すごい情熱を感じます。お互いの絵に影響を与え合っているような気がします」