価格は従来燃料の3~4倍も「非常に夢がある」 航空会社が「国産SAF」急ぐ理由

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   バイオ燃料をはじめとする「持続可能な燃料」(SAF、Sustainable Aviation Fuel)への注目が集まる中、国産SAFの商用化と普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」の設立会見が2022年3月2日、羽田空港で開かれた。

   「ACT FOR SKY」には16社が参加。プラント建設大手の日揮ホールディングス(HD)、バイオ燃料製造のレボオンターナショナル、日本航空(JAL)、全日空(ANA)の4社が幹事社を務め、業界横断的に安定した供給体制の構築を目指す。SAFの普及で二酸化炭素(CO2)の排出量を抑える狙いがあるが、現時点ではSAFの価格は現行の石油由来のジェット燃料に比べると「3~4倍」。大量生産でコストを下げることが課題で、コストが下がらないままにSAFの導入を拡大すれば運賃に跳ね返る可能性もある。ただ、SAFを利用しない飛行機の乗り入れを拒否する動きも起こりつつあるとして、ANAの平子裕志社長は「我々はそれを一番恐れている」と指摘。経済安全保障にも関係するとして、危機感を示していた。

  • 国産SAFの商用化と普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」の設立会見。16社が参加している
    国産SAFの商用化と普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」の設立会見。16社が参加している
  • ANAの平子裕志社長(左)とJALの赤坂祐二社長(右)。そろって「持続可能な燃料」(SAF)に関する発表会に出席した
    ANAの平子裕志社長(左)とJALの赤坂祐二社長(右)。そろって「持続可能な燃料」(SAF)に関する発表会に出席した
  • 国産SAFの商用化と普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」の設立会見。16社が参加している
  • ANAの平子裕志社長(左)とJALの赤坂祐二社長(右)。そろって「持続可能な燃料」(SAF)に関する発表会に出席した

世界の航空業界で「SAFの割合を2030年までに10%に増加させると約束」

   SAFは主に動植物や廃棄物由来の原料から製造され、石油由来のジェット燃料よりもCO2の排出量が抑えられる。政府が2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする「カーボンニュートラル」の目標を掲げており、民間も歩調を合わせている。

   SAFの導入推進を進める世界経済フォーラム(WEF)のクリーン・スカイズ・フォー・トゥモロー・コアリション(Clean Skies for Tomorrow Coalition)に参加する60社は、21年9月に「世界の航空業界で使用される燃料におけるSAFの割合を2030年までに10%に増加させると約束」したことを発表。この目標を、「2050年までに排出量をゼロにするための重要な節目」として位置付けている。60社には、米ボーイング社や仏エアバス社、JAL、ANAの親会社にあたるANAホールディングス(HD)などが含まれる。

   ただ、現時点でのSAFの利用率は1%未満で、そのほとんどが国外産だ。JALの赤坂祐二社長によると、「コロナ前」の段階で日本の航空業界で使用されたジェット燃料は年間1200~1300万キロリットル。目標の10%にあたる120~130万キロリットルは、東京ドームの1つ分、タンカー4隻分の容積にあたる。このためには「膨大な原料」が必要だが、「産業廃棄物や伐採林、ありとあらゆるものを組み合わせる」ことでSAFが生産できるとして、「この取り組みは非常に夢がある」とも話した。

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