「手足の本数3対1だからね」 二刀流パラアスリート×手足3本失った男...友達2人が語り合う本音

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ネガティブに見える物事も、裏返して見たらポジティブに見える

   ――知らなかったことが多かったということですが、障害の当事者になってご自身の中で変わったこと、気づいたことは、どんなものがありますか?

   山田: 僕は手足が3本なくなったので、「何も変わってない」と言ったら強がりというか嘘になる。生活は大きく変わりました。でも表面的には変わっても、自分自身の本質は変わらないかな。

   小須田: 基本的には全てにおいて不便になったんじゃない? 特に山田は。

   山田: それはそうですね、間違いなく。不便になって気づいたのは、生まれ持っていたものの大きさ。両手両足があった時にもっといろいろできたなとか、逆に片手だけでもいろんなことができるなとか。

 ほとんどの人が、自分の足で歩けるのが当たり前だと思っていると思います。自分も当たり前だと思っていたけど、その当たり前がなくなった。そして、同じように当たり前じゃない人が大勢いることも知った。自分がどれだけ恵まれていたかということに気付いたし、それがなくなったことで、もっと頑張らなきゃいけないと思いました。

   小須田: 良くも悪くも全部変わったんじゃないかな。山田も言ったように、当たり前にできていたことができなくなった。でも、それが再びできるようになることの喜びも感じられた。「できないことができるようになる」というのは、人間の喜びの本質なのかなと気づきました。

 歩けるだけ、走れるだけで嬉しい。そういう感情って、小さい頃に持っていたはずだけど、大人になってからも持っている人ってあんまりいないかもしれない。今、妻の妹の子どもが1歳で、最近歩き始めたんですけど、めちゃくちゃ楽しそうに歩いてる。それと同じ気持ちを、足を失ったことで自分が味わえているのは物凄く良いことだと思います。

 自分が今、大切にしているのは「全然楽しくなさそうなことでも、楽しいと思い込んで取り組めば、たぶん楽しくなっていく」ということ。ネガティブに見える物事も、裏返して見たらポジティブに見える。そういったことは、おそらく自分がケガをしていなかったら気づけなかったと思います。

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