僕らは「短所」を「長所」に変えようとしている
――そうすると、お互いに刺激し合っている感覚でしょうか?
小須田: そうですね。お互いが自分にはできないことというか、それぞれ長所を生かしてここまで来ていると思います。良い感じに刺激し合ってますね。山田は同じ障害者で、フルタイムでサラリーマンをやりながら、これだけ発信をしてメディアにも出ている。自分も頑張らないとなって思います。でも一方で、山田の活躍はそんなに驚かないというか。山田の感じだったら、目立つのも喋るのも好きだし、良い場所を見つけたんだなと思います。
山田: 手や足がないことって、多くの人にとって「短所」なんですよ。僕らはその「短所」を「長所」に変えようとしている。こす君がいろんなスポーツにチャレンジしていく姿がそれ。足が1本ない状態でもスポーツができる。走ってみる。走り幅跳びをやってみる。スノーボードやってみる。
僕も手足3本ないけど、1人暮らしをやってみたらできている。料理もできる。できることが増えていくから、僕はそれを発信している。やっていること自体は特別なことじゃないけど、手足がなければ「普通やらないよね」と多くの人は思う。だから、見てもらえるんだろうと思います。
小須田: 俺もSNSで発信しなきゃなって思います。自分たちが特殊な状況で生きているのは貴重なこと。自分は今スポーツをやっていて、結果を出してメディアにも取り上げてもらっている。そんな中、山田は自らYouTubeチャンネルを開設して、自ら発信している。すごく大事なことだと思います。
自分自身、小学校の頃とかに義足の人と触れ合うことってなかった。義足というものを考えたこともなかった。でも、山田がこれだけ発信していれば、義足を見る子どもは増えるだろうし、感じ取ってもらえるものがあると思います。
――知ってもらうことが大事であると。
山田: 手足がない人がどれだけいるかとか、どんな生活をしているかって、入院する前は全然知らなかった。手足がなくなってから知りました。
小須田: 俺は山本篤さんの存在すら知らなかったです。
山田: 「義足の人、義手の人で有名な人って、あんまり思い浮かばない。手足がない人なら乙武洋匡さんは知ってる」。それくらいが世間一般の認識だと思います。乙武さんも義足ではなく車いすを使っているから、僕も手足を失った時に「車いすに乗るのかな」って最初は思いました。だけど、義足で歩くことができた。
東京パラリンピックの影響もあって、障害のある人が徐々にフォーカスされる時代になってきたけど、まだまだ知られてない実態は多いです。そうすると、発信して知ってもらうことって大事だし、自分の存在意義があると思っています。