ロシアのウクライナ侵攻が始まり、どんな戦闘機が使われているか模型で紹介――テレビ局などがこんな企画で模型メーカーに依頼するかは分からないが、あるメーカーの「事前通告」が話題になっている。
横浜市内のメーカー「インターアライド」は、マスコミが模型の完成品を求めてきた場合について、「有るけど貸しません」と公式ツイッターで明かした。どんな事情があるのだろうか。
「戦争のときはこれまでに貸したことはない」
インターアライドでは、ロシアやウクライナが使うような戦闘機や戦車などの模型も扱っている。
テレビや新聞などでどんな戦闘機が使われているのか紹介することが増えてきそうだが、同社は2022年2月24日、公式ツイッターでこう告げた。
「報道関連の方々へ。弊社には、貸出可能なウクライナ軍及びロシア連邦軍に関する完成品等は一切ございませんのでご了承ください」
続けて、次のように貸し出すことへの本音も明かした。
「ぶっちゃけ 有るけど貸しません」
最初の投稿は、1000件以上リツイートされており、その理由について、様々な推測もされている。マスコミに貸すと、壊されていたり返さなかったりしてマナーが悪いのではないか、などだ。
一体どんな事情があって貸さないのだろうか。
ツイートを担当したインターアライドの営業部担当者は25日、J-CASTニュースの取材にこんな理由を明かした。
「戦争が発生して、死傷者がいる状況の中で、必ずしも報道の姿勢が中立かどうかもこちらでは分かりません。どういった状況でうちの模型を使って紹介されるか分からないので、戦争のときはこれまでに貸したことはないですね」
飛行機が墜落したなどの事件・事故のときも、次のような理由で模型をマスコミには貸さないという。
「見たくない人もおられる」
「悲しんでおられるご遺族の方もおり、人が亡くなっているような事件や事故で、うちの商品を使われたくないと思っています。例えば、日航機123便の墜落事故で、模型の完成品を貸すかどうかです。報道の義務もあるかもしれませんが、ご遺族の心情を考えますと、依頼があっても断りますね。おもちゃと言っても、カッコいいと思う人がいる一方で、見たくない人もおられるじゃないですか」
戦闘機が配備されたといった客観的な状況では、完成品をマスコミに何回か貸したことはあるという。また、貸した後で壊されたりしたことはないとしている。
今回のロシア侵攻で、マスコミから完成品を貸してほしいと依頼は来ていないとし、各社は、映像資料を使っているのではないかとした。
インターアライドでは、完成品をマスコミに貸さない理由について、25日にツイッターでも説明した。
「『壊される』『返ってこない』から貸さないんじゃあないんです。報道として取り上げれる際の内容によりけりなんですよね。特にセンシティブな内容を含む報道で取り上げられたくはないんです」
「自社で取り扱いしてる模型と、実際に進行している紛争に絡めて紹介されたくないんです。模型は模型なんです。この辺のニュアンスが伝え難くてもどかしいです。もっとおめでたい内容のニュースならば喜んで提供もします。『○○優勝おめでとう!』とか」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)