サッカーの元イングランド代表監督スヴェン・ゴラン・エリクソン氏(74)が、北朝鮮から2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の組み合わせ抽選の操作を持ちかけられたことを暴露したと、2022年2月24日までに複数の韓国メディアが伝えた。
北朝鮮官僚「我々を助けてほしい」
複数の韓国メディアによると、エリクソン氏は英メディア「BBCラジオ」に出演し、「最も奇妙なスポーツ犯罪」というコーナーの中で南アフリカ大会が行われる前に北朝鮮を訪問した際の衝撃エピソードを告白した。
当時、イングランドのノッツ・カウンティFCでディレクターを務めていたエリクソン氏は、北朝鮮の招待で平壌(ピョンヤン)を訪問。招待された表向きの理由は、北朝鮮の鉱物埋蔵量を調査した後、外国と共同採掘する事業に対して議論するというものだったという。
訪朝中に北朝鮮の官僚から「我々を助けてほしい」と懇願され、サッカーボールやシューズなどの用具支援の申し出だと思ったエリクソン氏は快諾。ところが官僚は「(W杯の組み合わせ)抽選に関与してほしい」と持ち掛けたという。
エリクソン氏が当時、国際サッカー連盟(FIFA)サッカー委員会に所属していたことから北朝鮮が組み合わせ抽選の不正操作を依頼したとみられる。
「それは犯罪だと言って何度も拒否したが...」
エリクソン氏は「そのようなことは出来ない。それは犯罪だと言って何度も拒否したが、彼らは執拗だった」と述べ、「今になって考えてみると、彼らが私を平壌に招いた理由もそれ(抽選操作)のためだったようだ」と振り返った。
北朝鮮は南アフリカ大会のアジア最終予選を勝ち抜き、44年ぶり2度目の本戦出場を決めていた。6月に行われた本戦ではブラジル、コートジボワール、ポルトガルが属するグループGに組み込まれ、ポルトガルに0-7で大敗するなど3連敗を喫し大会を去った。
北朝鮮にとって皮肉なことに、エリクソン氏は10年3月にヴァヒド・ハルホジッチ氏に代わってコートジボワールの代表監督に就任し、南アフリカ大会で北朝鮮と対戦。チームは1勝1敗1分で決勝トーナメント進出を逃したが、北朝鮮には3-0で完勝した。
エリクソン氏は番組の中で当時の北朝鮮官僚とのやりとりを「本当に不思議だった」と振り返った。