2022年2月22日から23日にかけて北海道札幌市周辺はまたも大雪に見舞われ、新千歳空港でも欠航が相次いだ。さらに空港からの交通機関も運休が相次いだために空港内で利用者が夜を明かす事態も発生した。
23日も新千歳空港から道内への交通は混乱しており、ANAでは「ターミナルの混雑」が理由という異例の欠航も発生した。離着陸は可能になっていたが、空港の状況を考慮しての判断だった。
新千歳行きを空席に、新千歳発は運航
新千歳空港では大雪のため22日は終日全便を欠航、滑走路も封鎖して除雪作業を行った。空港を運営する北海道エアポートによると、23日は2本の滑走路のうち1本が午前7時20分より使用可能になり、もう1本も午前10時に使用を再開した。午後以降の積雪による一時的な使用停止はあったものの航空機の発着自体は可能になっていたが、それでも合計73便が欠航した。
機材繰りなどで各社に欠航が発生する中、ANAはこの日の18時以降の羽田→新千歳の4便と伊丹→新千歳の1便について「ターミナルビル内にて相当数のお客様が滞留しています。今後も解消のめどが立っていないため、安全性確保の観点から欠航いたします」と理由を説明して欠航させた。
判断の経緯について、ANA広報部はまず23日16時頃に、国土交通省航空局の航空交通管理センター(ATMセンター)から航空各社に対し新千歳へ向かう航空便の出発停止要請があったことを明かす。
これは空港利用者が移動できずターミナル内に滞留していた状況を受けてのもので、要請は17時頃に解除されたものの、新千歳空港の状況を確認して新千歳行きの便の欠航を決めた。空港から札幌方面への鉄道は終日運休、バスも乱れが続き札幌市内との移動には大幅な時間がかかっていた。
ただし機体自体は乗客を乗せずに空席で新千歳空港に飛び、折り返しの便は乗客を乗せて運航していた。「ATMセンターからの要請は解除されましたが、空港内のお客様が出発便を待っているのか、札幌市内に向かいたいのかわからない状況でありました。収集した状況をもとに新千歳行きの便はフェリー(回送)で運航し、夜の新千歳→羽田便として運航しました」と取材に答えた。23日の18時以降、新千歳-羽田間では新千歳行きは空港混雑と天候で合計6便が運休したが、羽田行きは最終の1便以外は出発遅延がありながらも運航できた。
ATMセンターからの要請は航空各社に対しなされたが、この「混雑欠航」が利用者にアナウンスされたのはANAに限られた。JALでも新千歳発着便のうち11便が欠航となったが、「ATMセンターからの要請はありましたが、運航可能な新千歳行きの便はお客様を搭乗して運航させました」と同社広報部は取材に答えた。