羽生結弦の「報われない努力」なぜ心に刺さった? 識者が分析する「五輪名言の共通点」

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アスリートの「歩み」凝縮された言葉

   なぜ、羽生選手の言葉は心に刺さったのだろうか。ジャーナリストの森田浩之氏は2月18日、J-CASTニュースの取材に、言葉の持つ「これ以上ないシンプルさ」が注目を集めた要因になった、と分析する。

「誰もが知っていて、誰もが理解できる『報われない努力』というフレーズ。それがさらっと出てくるところが、メディアジェニック(メディア映えする)な羽生選手らしいと思います」

   今回の羽生選手の言葉は、かつて五輪で日本人選手が口にし、「名言」と言われてきた言葉と共通点があるという。

「一つは、女子マラソンの有森裕子さんが1996年のアトランタ五輪で銅メダル獲得後に残した『自分で自分を褒めたい』という言葉です。92年のバルセロナ大会で銀メダルを獲得し、金メダルが期待されていた中での発言でした。もう一つは、10年のバンクーバー五輪に出場した女子モーグル・上村愛子選手の『なんで一段一段なんだろう』という言葉です。98年長野大会で7位、02年ソルトレーク大会で6位、06年トリノ大会で5位と順位を上げてきた中、バンクーバーではメダルにあと一歩届かない4位でした。いずれの言葉も、アスリートのそれまでの歩みが凝縮された、重みや厚みを感じるものでした」
「今回の羽生選手の『報われない努力』という言葉も、彼の歩みを見ると、その厚みや重みをじわじわと感じます。14年のソチ、18年の平昌で連覇し、『絶対王者』と言われていた。それが、今回アンラッキーな出来事もあり、SPで8位になった。フリーで4位まで順位を上げて、クワッドアクセルに挑戦し初めて認定された。絶妙なストーリーが背景にあった中で、『報われない努力』という言葉が出てきた。羽生選手の生身の人間らしさが、ポッと出た。『絶対王者』が『最高の挑戦者』に変身した、そんな言葉だったと思います」

   羽生選手は20日のエキシビション終了後、テレビのインタビューで、大会をこう振り返っている。

「大人になって、人生って報われることが全てじゃないんだなと。ただ、報われなかった今は、報われなかった今で幸せだなと。不条理なことはたくさんありますけど、少しでも前を向いて歩いていけるように、頑張っていきたいと思います」
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