高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
トリガー条項の凍結解除「検討」発言 岸田首相の真意とは

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萩生田経済産業大臣の発言は本音だろう

   そもそも、「トリガー条項」の凍結解除については、法改正が必要だ。しかも、地方税源が1000億円の減収となるので、地方公共団体との協議や予算措置も必要だ。

   今年度予算にはそうした予算措置が含まれていないにもかかわらず、国民民主が今年度予算に賛成とは論理矛盾もあるが、いずれにしても、トリガー条項の実現のためには、法改正と補正予算が少なくとも必要だ。

   今年度予算は3月中には成立するが、その補正予算を4月早々に行うのはかなり無理がある。4月以降、今国会は予算非関連法案の審議をしなければいけない。しかも、7月の参院選を控えて、今国会は会期延長しにくい。なにより、成立したばかりの今年度予算を早々に補正予算で手当するはずがない。

   その意味で、萩生田経済産業大臣のいうように「今の段階ではトリガー解除は考えていない」は本音だろう。

   岸田首相の「検討」発言は、第三極経験の未熟な国民民主を籠絡させるために、予算早期成立で政権基盤を固めたい老獪な自民が放った「毛ばり」ではないだろうか。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。


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