立浪和義新監督の指揮下、初めての春季キャンプを迎えている中日ドラゴンズ。中日OBでエースとして活躍した川上憲伸氏が、2022年2月12日にYouTube「川上憲伸 カットボールチャンネル」に投稿した動画でキャンプの印象を話している。
京田陽太のフォームに驚き
中日の最優先課題とされるのが、昨季12球団ワーストの本塁打数と得点に終わった貧打の克服だ。昨秋のドラフトでもブライト健太・鵜飼航丞と2人のスラッガー候補を1・2位で指名した。
新入閣の中村紀洋打撃コーチの指導で石川昂弥・根尾昴ら若手の打撃向上が期待されているが、川上氏が挙げた注目の野手は6年目の遊撃レギュラー・京田陽太だった。
「京田選手は全く違う雰囲気だったんでね。(バットを)引くっていうよりそのまま上に上げるって感じの、すごいフォーム変えてると思うんですね。(フォームが今までと)全く違いましたね」 「下半身もしっかり鍛えたな、って」
と、キャンプで会った印象を話す。昨季は打撃不振で5月にプロ入り後初の2軍落ちも経験した京田もまた、フォーム改造で打力強化を図っている。動画のテロップでは「京田陽太 長距離砲として覚醒の時」と出ていた。
ファンの期待も高いブライトと鵜飼については、まずブライトを打撃練習で見た感想として「現時点でピッチャーのストレートは仕上がってません。なのにファウルになってしまう。前に飛んでもなんかごてごて...っていうのを見ていると時間かかるのかなって感じはしました」と厳しめの評価。鵜飼については「ハマった時のスイング、打球音は新人らしかぬ助っ人外国人のようでスケールの大きさを感じる」と評しつつも「少々変化球でかわしにいってもそれをうまく捉えるイメージがあったんですが、笠原(祥太郎)投手との対決を見てると下半身のタイミングが合ってないんですよね」と課題を指摘している。
落合竜との違い「新人選手も新人だからとかいうのが全くない」
川上氏は落合監督時代(2004~2011)の8年間のうち08年までの前半期をエースとして中日投手陣を支えた。落合監督1年目と立浪監督の今次キャンプとの雰囲気にも言及している。
川上氏は落合監督1年目のキャンプを振り返り、
「最初のキャンプの時ミーティングで言われたのは、今までレギュラーで自分でやってきた人とか自信持ってる人とかいるかもしれないけど、全員横一線であると、結果を残して自分でレギュラーをつかめと」
と説明。それを引き合いに、いまの立浪監督も「皆にチャンスがあるっていう雰囲気を出している気がします」としていた。
しかし、04年当時はまだ現役選手だった立浪監督の他、福留孝介・谷繁元信・井端弘和・荒木雅博らが安定してレギュラーを担っていた時代。
「落合さんの当時の『皆にチャンスがある』っていうのは、今までレギュラーを獲ったりしてる人に、『安心すんなよ、しっかり締まれよ』と、どっちかというとそっちのイメージが強かったんですよ」
と振り返る川上氏は、22年のドラゴンズを
「立浪監督になって、こんなにいろんなポジションがあるんだから、もう今から自分たちがどんどんアピールしてやっていったらなんぼでもチャンスあるですよ、と。気が付けば全部のポジションにチャンスだよ。セカンドもあればレフトもあるよってぐらいの」 「すごく前向きにやってる感はありますね。新人選手も新人だからとかいうのが全くないですね」
と活発な競争がチームに生じていることを示唆した。
外野ではブライト・鵜飼・根尾・岡林勇希らがレギュラーを争い、内野も若手の石川、高松渡、土田龍空らのブレイクが期待される状況で、根尾に至っては内野を諦め外野一本で一軍を目指すほど。激化するレギュラー争いの雰囲気も川上氏は視聴者に伝えている。