荷物の凍結を防ぐため、寒冷地への配送はクール便(冷蔵配送)を用いた方がいい、という話がツイッターで注目を集めている。青果やワインなどを常温配送すると、凍結し、腐ったり割れたりすることがあるのだという。
本来の用途とは逆にも思えるが、凍結を防ぐためにクール便を用いるのは有効な策なのか。J-CASTニュースは、日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便の3社に取材した。
常温配送で凍結する可能性はある
クール便を使った寒冷地への発送が話題となったのは、あるツイッターユーザーの2022年2月8日の投稿がきっかけだ。
東北にみかんを送ろうとしたところ、集配スタッフからクール便を推奨された、という内容のつぶやきだ。このツイートは14日夕時点で2万4000件のリツイート、12万件を超える「いいね」を集めるなど、大きな注目を集めている。
投稿には、「お酒もこの時期寒い地方へ送る際はクール便が良いですよ。お酒も寒すぎると凍りますので」「冷蔵庫のほうが温かいからな...」などと共感する声もあった。
実際、ネット上で調べてみると、ワインや青果などを扱う通販サイトの中には、凍結対策として冬季の北海道や東北地方への配送にクール便を指定する業者もあった。
冬場の東北や北海道などに常温で配送すると、荷物が凍結する可能性はあるのか。日本郵便は次のよう説明する。
「お預かりしたお荷物をお取り扱いする際、通常扱いとするものについては、温度管理に関して特別なお取り扱いを行っていないため、外気温が著しく低い場合などは、外装等が凍結する可能性はあります」
佐川急便「(クール便で)凍結は防ぐ事が可能です」
J-CASTニュースは、冷蔵配送サービスを用意する佐川急便(飛脚クール便)、日本郵便(チルドゆうパック)、ヤマト運輸(クール宅急便)の大手3社に、冷蔵配送で凍結を防ぐことができるというのは事実か、また配送会社からこうした提案を行うことはあるのかなどを尋ねた。
佐川急便は、
「確かにクール冷蔵便で出荷する事で凍結は防ぐ事が可能です」
と回答した。
日本郵便は「お荷物の凍結を防止することを目的に、会社としてお客さまに対してチルドゆうパックのご利用をご案内することはしておりません」としたが、「お客さまからチルドゆうパックとして差し出された場合は、これによりお取り扱いさせていただきます」とも答えた。
ヤマト運輸は、クール宅急便を利用した場合に「外気温より高い温度帯になる場合があります」としたうえで、
「ただし、クール宅急便は保冷輸送(温度を保つ)サービスのため、お荷物をお預けいただく前にお客さまご自身での予冷をお願いしております。(輸送時に、保冷温度が上昇し、他のお客さまのお荷物に影響を与えるおそれがあるため)」
と、常温のまま荷物を預けることは控えて欲しい、と呼びかけた。
そのうえでヤマト運輸は、「北海道などの寒冷地で、日中でも外気温が氷点下になる可能性がある場合は、その旨をご説明し、外気温に影響されにくい梱包をご提案することがあります」とも説明する。具体的には、発泡スチロールを使ったり、外装をエアキャップで巻いたり、持ち手などの穴を塞いだり、などの方法があるという。