流行の要因は?
フードライターの笹木理恵氏は8日、取材に対し、「背徳」をキーワードにしたグルメはここ1〜2年の間に目立ってきたと話す。ターゲットは働き盛りの20〜50代。コロナ禍で旅行に気軽に行けない中、身近なストレス発散方法として「食」が注目されたことも、流行の要因ではないかと分析する。
一方で「ホイップクリームたくさん、ニンニクたくさんのように、食べると罪悪感を感じるようなグルメは、もともと一定のニーズを持っていた」と話す。そうしたグルメはこれまで「デカ盛り」「鬼盛り」「悪魔飯」などの言葉で表現されてきたが、「今は『背徳』という言葉がはまっている」状況だという。
なぜ「背徳」という言葉が定着したのか。そこには、言葉を目にした際に受ける「とっつきやすさ」がある、と分析する。
「昨今、食のトレンドとSNSの投稿が切り離せない関係にある中、『背徳』は男女問わずにつぶやける言葉として、SNS上で盛り上がりを見せました。また、女性目線で見ると、『デカ盛り』や『鬼盛り』より『背徳グルメ』と言われた方が、とっつきやすい印象があります。商品を手に取る人の裾野が広がったと言えるのではないでしょうか」
近年は「背徳」と相反するような、「健康志向」を打ち出した商品も多く登場してきた。笹木氏は「毎日の食生活で野菜を摂る、というように、健康志向は今や『トレンド』ではなく『ライフスタイル』として定着した印象です。一方で、背徳グルメは毎日食べ続けるものではなく『今日は食べちゃえ』という思いに応えるもの。消費者の間で、うまく使い分けられているのではないでしょうか」と話した。