沖縄県名護市で行われているプロ野球・日本ハムの春季キャンプ。中継をテレビで見ていた視聴者は驚いたのではないだろうか。
新庄剛志監督は2022年2月5日、生中継する「GAORA」の放送席に突然現れると、目の前で行われたバント練習に苦言を呈した。その矛先が向けられたのは選手ではなかった。
「コーチ陣がダメ。俺が言ったことを伝えきれてないのがイヤなのよ。俺、このバント要らないって言ってるの。構えが固くなる」
「一発で決めてくれないと選手が疲れちゃう」
新庄監督はさらに続けて、
「ピッチャーが投げ始めた時にセーフティとバントの間くらいのリラックスさを持ちなさいって言ってるんだけど、ほら、今構えてるやろ。これチャンスの場面で固くなるのよ、ファウルになってしまう。遊びなさいって言ってるんだけど...しかも、さっきも選手がトンボかけてたから、何回言いましたか?って話、コーチに。選手は休憩させてほしいのよ、早く」
と嘆いた。
同日にはシートノックでノッカーの稲田直人内野守備走塁コーチに喝を入れた。報道によると、稲田コーチにミスショットが続くと、外野で見守っていた新庄監督は
「そりゃレギュラー取れんわ。プレッシャーに弱い。一発で決めてくれないと選手が疲れちゃう」
と注文。それでもミスが重なると、最後は外野の芝生に倒れ込んで大の字になり「ちゃんとして!」と訴えたという。
「チームを引き締める意味でも良い影響」
「稲田コーチは決してノックが下手ではないです。キャンプの第1クールでは完璧なノックを見せていたが、あの日のシートノックではミスがちょっと続いた。普通なら見過ごすところだし、選手もストレスは感じたわけではないと思いますが、新庄監督はコーチにも高い水準を求めている。
厳しいだけでなく、稲田コーチが良いノックを見せたら褒めていました。トンボをコーチがやってほしいという要望は前から言っていましたしね。監督がコーチに忖度すると選手は敏感に気づきます。コーチにも選手以上に厳しく接する姿は、チームを引き締める意味でも良い影響を及ぼしているように感じます」(スポーツ紙記者)
選手だけでなくコーチ陣にも厳しく熱く接し、チームを変革する。
(中町顕吾)