「コロナ禍のコミケ」知られざる舞台裏 11万人参加も「本来の姿ではない」...運営が語った葛藤

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「すべての表現者を受け入れる」コミケの理念と感染症対策による制限

   今回のコミケは感染症対策として、有料チケット制を導入し、来場数を1日当たり5万5千に制限した。これは例年の3分の1から4分の1ほどの規模であり、申込者によるチケットは抽選となった。

   このほか3密の回避などの基本的な感染症対策に加え、政府の「ワクチン・検査パッケージ」を導入し、その技術実証にも参加した。参加者全員にワクチンの2回接種もしくは検査結果の陰性のいずれかを提示することを求めた。

    ――これまでのコミケとの違った点や、それに伴い苦労した点などをお聞かせください。

市川さん:「ワクチン・検査パッケージだけではなくて、一般参加者をチケット制にしたり、総来場者に枠を設けて制限したり、サークルの机の間隔を数10センチずつ空けていくことなど、感染症対策に重点を置きました」
安田さん:「コミケは本来『来たい人は全員来てね』っていうイベントで、それを45年間続けてきました。しかし今、来たい人を絞らなければならない。こちらがやりたくてやっているわけではありませんが、会場に入れる人数制限からも、どうしても抽選せざるを得なかった。これは今までの理念と照らし合わせると、結構外れたことでもある。
ただ我々としては、今回は次に繋げていくことを目的として、まずは実施することが1番大事でした。これが一番大きい変更点だったんじゃないかと私自身は思っています」
市川さん:「僕の言った感染症対策に伴う物理的な変化と、安田さんの言った理念に伴う信条的なものがあるんですよね。この2つに取り組むのが大きな課題で、すごく苦労した点でした。
どちらか片方だけならばもう少しうまくやれたのかもしれない。しかし45年間実施してきたイベントで毎回参加してきた人々が抽選に外れて参加できなくなってしまったという声を耳にすると、心に訴えるものがありました。これはやって良かったことなのかと。
いずれは以前のような誰でも入れる状態にしていきたいです。どうやったらコミケ本来の姿に近づけるのか、どこまで戻せるのか、これからも模索し続けていくんだろうなと思います。」

   準備会によれば今回、抽選漏れとなった一般参加者はかなり多かったという。販売側のサークル参加については、申込期間が緊急事態宣言下であったためか、そもそもの申込数が少なく抽選漏れも少なかったとのことだ。

    ――有料チケット制についてはSNS上で、徹夜組や始発ダッシュがなくなったといった声もあがっておりましたが、準備会では何かそういった手ごたえは感じましたか。

市川さん:「アーリーチケットの導入等によって少しは減ると想定していましたが、ここまで劇的に減るとは目からウロコでした。これを見てしまうとこの先、アーリーチケット制度などを一部残すべきなのかどうなのか、もう少し検討する必要があると思っています。やはり徹夜や始発で来られたりすると体力が奪われますので、感染の一因になってしまうのではないかという心配もあります。
変更事項の何をどこまで残すのかは、考える余地があると思います」
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