「コロナ禍のコミケ」知られざる舞台裏 11万人参加も「本来の姿ではない」...運営が語った葛藤

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オンリーワンも輝く場所を

    ――2年間コミケがないことで、表現のすそ野が狭まることを危惧する声も上がりました。こうした状況をどう受け止めていましたか。

市川さん:「危機感がありました。イベントがないと発表の場がなく、締め切りもやってこないということは、サークルさんのモチベーションにも影響するため、同人誌が作りづらい状況が続いていました。印刷所の方々への発注も減るので、エコシステムにも影響が出てしまい、この流れは良くないとずっと思っていました。イベントがない中で、どうやって同人誌を作ってもらえるか考えてきましたし、試みもしてきましたが、なかなかうまくはいきませんでしたね」
安田さん:「コミックマーケットは様々なジャンルを受け入れています。『ないものはない』と言われていたくらい、色んな人の好奇心が本に結び付いていました。
流行のジャンルの作品は他の即売会でも手に入れる機会があると思いますが、オンリーワンの作品は、コミケットが向いているという状況があります。例えば評論、メカ、ミリタリーといったジャンルがそれに当たります。
流行り廃りではなく『これを描きたい』と何十年も一つの題材に取り組み続けているような人々が作品や同人誌を発表する場を、用意しないといけないと常々思っています。
今回のコミックマーケットで久々の知り合いにあいさつに行くと、2年ぶりに同人誌を出したという方が意外に多くて、『コミケをやってくれたから本を出せた』と言ってくださる方もいました。
こうした人々にとって大事な場でありたいと、改めて強く思いましたし、『次も頑張ろう』というモチベーションにも繋がりました」
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