V奪回を狙うプロ野球・巨人で、レギュラー争いが激しいポジションの1つが捕手だ。大城卓三、小林誠司、岸田行倫とそれぞれタイプが違う3選手が正捕手獲りに燃えている。
その中で正捕手に最も近い存在が大城だ。17年にドラフト3位で入団し、順調にステップアップしているかに見えた。
チームV逸でリードに批判も
1年目の18年に83試合に出場し、19年は109試合出場で打率.265、6本塁打マーク。20年は新型コロナウイルス感染で戦線離脱した時期があったが、チームトップの71試合先発マスクをかぶり、打率.270、9本塁打、41打点といずれも自己最高の数字を残した。課題だった守備も盗塁阻止率で前年の.172から.340と改善。リーグ連覇に貢献し、自身初のベストナインを受賞した。
かつての正捕手だった小林誠司の影は薄くなり、大城がこのままレギュラーで地位を固めると思われたが、昨季は試練を味わった。
自身最多の125試合出場したが、打率.231、11本塁打、37打点。自身初の2ケタ本塁打をマークしたが、打率は前年より4分近く落とした。捕手はチームを勝たせてナンボだ。9月に入るとチームが優勝争いから脱落して大失速。大城の配球が批判されることが目立つようになり、6試合連続でスタメンマスクを外れたことも。打撃も精彩を欠いた。
身長187センチ、90キロの恵まれた体格からチーム屈指の飛距離を誇る大城だが、「打てる捕手」であることを証明しているとは言えない。
長年正捕手を務めていた阿部慎之助(現・巨人1軍作戦兼ディフェンスチーフコーチ)は首位打者を獲得し、通算406本塁打を放つなど球史に名を残した「打てる捕手」だけに、大城は物足りなく映ってしまう。