このままでは本当に閉店してしまう
取材に応じた和楽の店長・岡野寿一さんは、「閉店は、したくないセール」は1年ほど前から行っているとして、実施した経緯などをこう説明する。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、和楽の客足は減っていた。閉店も検討はしたが、19年続けてきた店を閉じるのは気が引けたのだという。しかしこのままでは本当に閉店せざるを得ない状況となってしまう。そこで何とかして集客できないか、インパクトのあることをしようとして思いついたのが「閉店は、したくないセール」だった。
既存の「閉店セール」のポップを用意し、「は、したくない」と書き加えた。このほか店内の様々な個所に「閉店しないためのセール」などの自作ポップを掲示した。商品はほとんど2割以上を割り引いた特別価格で販売している。
客の反応は様々だった。「胡散臭いな」という反応をする人もいれば、「なるほどね」「面白いな」と笑う人もいた。
客はシニア世代が中心だが、時折若い人が立ち寄って、ポップを撮影していく様子が見られたという。そして撮影された店頭の様子がツイッターで拡散され、リプライには「こういう手の混んだ告知 私は好きです笑」「いいねえ」といった好意的な声が寄せられている。
こうした反響を受けて岡野さんは、「インパクトを狙っていたので、こうした反応があって良かった」と述べた。