JR東日本田町車両センターで2022年1月29日・30日、撮影イベント「往年の名機、一堂に会す。」が行われた。事前予約制の有料イベントで、JR他社からも機関車が参加し、ファン注目のイベントになった。
JR貨物から唯一のEF66原型機が参加
イベントは2日間で時間帯を分けて合計9回開催された。毎回30人限定(29日夜のみ20人)、費用1人2万7000円。品川駅から車両センターの移動には185系電車を使用し、国鉄世代の機関車3両を主役にした。
登場したのはEF65-501号機、EF65-1115号機、EF66-27号機の3両で、いずれもかつて東京駅から九州方面への寝台特急「ブルートレイン」の牽引にあたった機種だ。特筆すべきはEF66-27号機で、EF66形の中では国鉄時代の原型をとどめる現存唯一の0番台となり貴重な機体。「ニーナ」の愛称でファンからは注目の的だが、所属はJR貨物で、寝台特急を牽引したことはない。それでもわざわざJR貨物から27号機が参加し、かつての列車のヘッドマークを掲げてカメラの的になった。現地の写真はSNSで拡散され、イベントに参加していないファンの興味もひいていた。
田町車両センター一帯はかつて機関区がありブルトレ牽引機が集結していたが、すべて廃止され機関区と機関車の配置もなくなった。東京駅に発着するブルトレは2009年の「はやぶさ・富士」の廃止をもって全廃となり、EF66が田町でヘッドマークを掲げる姿は12年ぶりだ。歴史を思い出させるイベント実現までの経緯を、企画したJR東日本東京支社に聞いた。
「サンライズ」285系と並ぶ瞬間も
2022年は1872年に日本初の鉄道が開業してから150周年にあたる。品川はこの時開業した日本初の鉄道駅のひとつだ。これにちなんで企画は立ち上がった。
「鉄道開業150周年を記念し、鉄道との所縁が強い品川という地で、かつて駅構内にあった車両基地に集っていた思い出の車両たちを集めることはできないだろうかとの発意から、この企画はスタートしました。昨今のコロナ禍による外出規制等で、お客さまが鉄道に気兼ねなく触れていただく機会が少ないなか、普段立ち入れない場所等で体験できない内容を楽しんでいただき、喜びを感じていただきたいという思いから、有料見学会を企画しました」(JR東日本東京支社)
田町車両センター敷地にはかつて東京機関区があり、EF65-501号機とEF65-1115号機も在籍した。イベントでは185系電車も3両の機関車の横に並び、さらに車両センターに入庫中の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」用285系電車と並ぶ場面も撮影できた。185系は昨年に定期運用から撤退し、イベント列車で使われている。同系の起用やEF66-27号機の起用についても、
「品川駅構内に入るために、イベントに合わせて特別な機会を作りたいとの想いから、展示車両と兼ねて、品川駅から撮影箇所までの移動に185系を使用したいと考えておりました。サンライズの285系については、定期運用の合間で入区してくる列車ですので、まさに偶然でした。お客さまに喜んでいただける撮影会を開催するため、ブルートレインをけん引していた当時の姿で唯一残るEF66-27号機を、JR貨物さまよりお借りすることができ、撮影会を実施することができました」
と説明し、JR貨物からの協力も得たことを明かした。