「大嫌いだったゴキブリ」に魅了された男 今や新種も発見...「ゴキブリスト」が語る赤裸々研究生活

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初対面の人は「ゴキブリ研究」にどんな反応を?

   もともとは嫌いだったものの、運命的な出会いをきっかけに「好き」に転じたことを明かした柳澤さん。そして、その後は研究に没頭するも、ゴキブリが苦手な多くの人と同じ感覚もまた維持した上で精進していることにも驚かされた記者は、さらなる質問を柳澤さんに投げかけた。

――「ゴキブリを研究している」と初対面の人に明かすと、どんな反応をされることが多いですか?

柳澤:まず、私が赤の他人様とお会いするのが、仕事場たる昆虫公園であることがほとんどです。昆虫を見に来られている方が多いので、そこまでビックリされることはありません。

――確かに。

柳澤:ただ、ゴキブリを採集すべく野外に繰り出した際には、地元の方々にばったり会うことがあります。その時「何してるんですか?」と聞かれて、「ゴキブリの研究のために採集をしています」と答えると、やっぱり皆さん驚かれますね。それでも、けげんな顔をする人はほとんどおらず、「どんなゴキブリを採集してるんですか?」といった質問と共に興味深そうな表情をされる方が多いです。

――なるほど。

柳澤:ゴキブリの研究をやる前はカミキリムシが好きだったので、同様に採集にも行っていたんですが、その際、同じように採集活動について説明しても、反応は「あー......そうなんですね」といったフラットなものが多かったです。きっとカミキリムシを知らないし、知ってても興味などないでしょうし。でも、ゴキブリはみんな知ってますからね。

――おっしゃる通りよく知られた存在ですね。ところで、そもそもですが「ゴキブリ」という名前の由来って何なんでしょう?

柳澤:もともと、「御器(ごき)」という、料亭などで汁物を入れて出す食器があるんですが、それを「かじっている虫」という意味で「御器齧り(ごきかぶり)」という名前が付き、5つの音のうち「カ」が脱落したという説が有力です。
ゴキブリの語源になった可能性が指摘されている「御器(ごき)」
ゴキブリの語源になった可能性が指摘されている「御器(ごき)」

――「ゴキカブリ」が変化して「ゴキブリ」に!

柳澤:そうなんです。1884年に日本で「生物學語彙」という日本初の生物学用語集が出版されたんですが、そこに、ゴキブリについての記述が2箇所あるんです。1回目の登場では「ゴキカブリ」と表記されていたものの、2回目の登場では「ゴキブリ」という表記になってしまっていました。当時は活版印刷ですから、恐らく、2回目の登場のページを印刷する際に、何らかの理由で活版が脱落し、「ゴキブリ」になってしまったんではないでしょうか。

――「ゴキカブリ」の「誤記」だったという可能性があるということですね。

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