行政処分を受けた企業も
JMRAの綱領では、「リサーチプロジェクトは、適法、公明正大、誠実、客観的でなければならず、かつ、適切な科学的諸原則に基づいて実施されなければならない」と明記している。
公正取引委員会は2008年に「No.1表示に関する実態調査報告書」で、No.1表記は景品表示法上、問題となる場合があると指摘している。不当表示(有利・優良誤認)にならないためには、「①No.1表示の内容が客観的な調査に基づいていること②調査結果を正確かつ適正に引用していることの両方を満たす必要がある」と示す。
JMRAインターネット調査品質委員会の岸田典子さんは、非公正な調査例として次の6点を挙げている。
・調査設計についての記載がない。
・母集団の構成比がゆがんでいる(若い人に受けている商品なら、構成比を若い方を多くするような操作が可能)
・十分なサンプル数がない。回収状況を見て、結果が1位になったところで恣意的に調査を終了する。
・2位との間に有意な差がない。
・とにかくカテゴリーを細分化して、無理やり1位になれる商品カテゴリーを作る。
JMRAは抗議状について「しっかりしたNo.1調査はもちろんあります。No.1が絶対に良くないというわけではないです」と前置きしつつ、「そうでない調査が広がっていることも世間に伝わって欲しい」と狙いを明かす。
特定の調査会社を糾弾する意図はなく、「No.1表記は広告効果が非常に高いので付加したい気持ちはわかりますが、調査会社の言い分を安易に信じて表示してしまったことで消費者からの信頼を失うことがあると認識してほしい」と警鐘を鳴らした。
消費者庁は17年4月、広告で「『業界最速』の通信速度」「SIM販売シェアNo.1」と合理的な根拠なく表示していたとして、景表法違反でプラスワン・マーケティング(同年12月に経営破綻)に措置命令を出した。8824万円の課徴金納付命令も下した。
20年9月には、埼玉県が家庭教師派遣サービスを運営する「ワン・ツー・ワン」(東京都豊島区)に対し、景表法違反で措置命令をした。
広告で「家庭教師お客様・料金・第一志望校合格満足度3部門第1位」「2019年3月全国の子どもがいる20~50代の男女から選ばれました」と顧客からの満足度が高いかのような表示をしていたが、実際には調査会社がネット上で収集したイメージ調査の結果だった。