アドビのインターネット広告から、コツメカワウソに関する画像が取り下げられていたことがわかった。日本アジアカワウソ保全協会が明かした。
広告をめぐっては、同協会が「絶滅が危惧されているコツメカワウソをペットとして飼育することを助長する」などと抗議していた。
「貴社の企業理念と相反するもの」
日本アジアカワウソ保全協会は2022年1月29日、アプリケーション「Adobe Creative Cloud」のネット広告に対し、抗議文を提出していたことを公式サイトで公表した。
抗議文は昨年10月、筑紫女学園大学教授(生物資源保全学)で協会理事長の佐々木浩氏名義で出された。
広告では、数百匹の動物を飼育しているという動画配信者を起用し、Adobe社の動画編集ソフトの魅力を「ペットの魅力を引き出す編集術」と題して伝えていた。協会によれば、「配信者がペットとして飼育しているコツメカワウソを抱き上げている画像を前面にした内容」だったという。リンク先の特集ページでは、コツメカワウソを含む複数の動物がペットとして登場した。
コツメカワウソは絶滅のおそれがある動物として、2019年11月にワシントン条約の附属書Ⅰが改正されて商業目的の国際取引が禁止された。その前には日本への密輸が多く摘発され、協会はすり抜けた個体が多数のペットショップで売買されていただろうとする。
そうした背景から、
「合法的に輸入されたものの飼育は違法ではありませんが、絶滅が危惧される動物をペットとして扱うことを是とする行為は、 "環境を守る製品イノベーション"や"環境保全への取り組み"を訴求し、持続可能性を求める貴社の企業理念と相反するものと考えます」
「絶滅が危惧されているコツメカワウソをペットとして飼育することを助長する貴社広告の『ペットの魅力を引き出す編集術』において絶滅が危惧されるコツメカワウソが一般的なペットであるのように前面に押し出されており、Adobe 製品の利用者ならびに利用を考える方々へ、誤ったメッセージを送るものになっている」
と指摘した。