「妄言製造機が死亡」「極右勢力の代表」 石原氏訃報で中韓メディアが放った言葉

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   2022年2月1日に89歳で死去した元東京都知事の石原慎太郎氏は、政治家としての豪腕ぶりが注目される一方で、発言が波紋を広げたことも多かった。

   それだけに東アジアの中でも評価が分かれた。韓国・中国のメディアでは、過去の発言を引き合いに「妄言製造機」「極右勢力の代表」などと批判的に報じられる一方で、台湾メデイアの扱いは「台湾の友」。要人や台湾当局がお悔やみの談話を出したことも報じられている。

  • 石原慎太郎氏。発言が波紋を広げることも多かった(2016年撮影)
    石原慎太郎氏。発言が波紋を広げることも多かった(2016年撮影)
  • 石原慎太郎氏。発言が波紋を広げることも多かった(2016年撮影)

聯合ニュース「韓国関連でも数多くの妄言」

   韓国の聯合ニュースは、「極右妄言製造機」が死亡したという見出しを掲げ、石原氏を「小説家であり、日本の極右保守政治家の代名詞と呼ばれた石原愼太郞・元東京都知事」と表現。都知事在任中には

「人種・性差別的発言を続け、日本の再武装など保守層を刺激する論理を繰り広げる手法で日本の保守右硬化を主導したという批判を受けた」

のに加えて、

「北朝鮮ミサイル発射などで対北朝鮮強硬論が盛んに台頭する時は、日本の核武装を促す極端な主張も躊躇しなかった」

とした。14年には日韓併合が自衛のためだったという主張を展開したとして、「韓国関連でも数多くの妄言をぶちまけた」とした。

   朝鮮日報も、石原氏について「『韓日併合は朝鮮人の選択』『南京大虐殺は中国が作り出したもの』などの発言で、韓国と中国で『妄言製造機』として知られる人物」だとした。

   中国メディアの論調も石原氏に批判的だ。中国共産党系の環球時報は、「『日本の極右勢力の代表』が、日中関係にどんな問題を起こしたのか」の見出しで石原氏の評伝を掲載。12年に打ち出した尖閣諸島購入計画が「反中茶番」だとして、「中国人にとって最も身近な日本の右翼の人物となった」とした。記事では、

「釣魚島(編注:尖閣諸島の中国側の呼称)問題は政治問題であり、中日両政府が解決すべき問題である」

とする識者の見解を紹介しながら、石原氏を

「地方の指導者として国民感情を煽り、釣魚島問題の社会化を推進し、釣魚島問題をめぐる中国人と日本人の対立を激化させた」

などと非難した。

環球時報が紹介した「日本のネットユーザーの態度」は...?

   環球時報は別の記事で、

「この物議を醸した人物の死に対する日本のネットユーザーの態度は両極端だ」

として、日本語のツイートをピックアップしている。その内容は、

「愛国心のある、素晴らしい方でした」
「生きた時代が早すぎた。今こそ彼が必要なのに」

などと石原氏の功績をたたえるものあるが、次のように批判的な声の方が多く取り上げられた。

「作家としては功績あるかもしれないが、政治家としては有害だったと思う」
「死んだからといって、生前まき散らした『ヘイトの種』は自動的に回収されるものではない。『死者を悪く言うなかれ』は日本の道徳だが、生き死に拘らない歴史認識は必須」
「死ぬまで自分が放った差別の火を消さずに死んだ」

台湾は陳水扁元総統、外交部がお悔やみの談話

   一方、台湾メディアは石原氏に「友台的」(台湾の友人の)という枕詞(まくらことば)をつけて死去を報じた。石原氏は日台関係改善への取り組みが評価され、08年に陳水扁総統(当時)から「特種大綬景星勳章」を贈られている。

   陳氏は、石原氏は「最も親日的な日本の政治家」だとして、死去が「台湾と日本の友情にとって大きな損失」などと語ったという。台湾当局の外務省にあたる外交部が哀悼の談話を出したことも報じている。

   4大紙のひとつ「自由時報」は、石原氏について「台湾の友」と表現。

「台湾には何度も来ており、李登輝元総統とは良好な関係を築いていた」

などとして、李氏の招きで1999年の台湾中部大地震の被災地を訪問したエピソードも報じている。政治姿勢については

「石原慎太郎氏は南京大虐殺の存在を否定し、中国の捏造であると主張する。また、日米同盟にも否定的な立場をとっており、その歴史観から日本の多くの右派の人たちから支持されている」

などと伝えている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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