知られざる社名「紀文」のルーツ
「のりふみ」と間違えられてしまった紀文食品の広報担当者は2日、取材に対し、今回のやり取りを通じて正しい読み方が伝わったことに「ありがたいですね」と話す。
紀文食品は山形から上京した商人・保芦邦人氏が1938年に創業した山形屋米店をルーツとする。保芦氏は40年に築地市場場外(当時)に果物店を開くが、この時の屋号が、果物の名産地・和歌山県(紀伊国)からとった「紀国屋果物店」だった。しかし、この屋号では長いとして、名称の短縮を検討する。
「短くするにあたって、当時は社名に『ん』をつけると商売が繁盛する、というジンクスがありました。紀国屋果物店の『紀』と『ん』を上手く繋げて、最終的に『紀文』になりました」(広報担当者)
その後、練り物製造に力を入れ出した紀文。店頭で売る「おでん種」の一つ一つに「紀文」の焼印を押し、社名を伝えた。「バラで売られると、一見しただけではどこの製品かわかりませんでした。名前をつけるということは、品質を保証するという裏返しでもありました」(広報担当者)。パッケージ包装が進んだ現在でも、一部製品に「紀文」の焼印を押している。ヒロキさんが目にしたちくわもその一つだ。
今ではお正月シーズンに放送するCMで「紀文(きぶん)」と、音付きで社名を紹介している。広報担当者は「ぜひ、『きぶん』という音も合わせて覚えていただければと思います」と話した。