コロナ禍でテレワークが広がるなか、例外のひとつが永田町だ。党内会議や国会議員が省庁からヒアリングする際はオンラインの活用が増えてきたものの、国会審議は依然としてオンラインの参加ができない状態だ。
その大きな原因が、衆参の規則で「現に議場にいない議員は、表決に加わることができない」と定められているためで、野党からはすでに規則の改正を求める動きが起きている。焦点になっているのが、憲法で定足数を定めた項目の「出席」という表現。この「出席」がオンラインの出席も含むと解釈できれば、規則の改正は前進することになる。国民民主党の玉木雄一郎代表は2022年2月1日の定例会見で、憲法審査会で解釈を確定すべきだと主張。「ただ議論もせず放置することが問題」などと述べた。
憲法第56条「三分の一以上の『出席』」をどう解釈するか
国会では感染対策として議場にアクリル板を設置したり、席に間隔を開けて座ったりしているが、オンラインでの審議は認められていないのが現状だ。衆参の規則で、
「表決の際議場にいない議員は、表決に加わることができない」(衆院規則第148条)
「表決の際に、現に議場にいない議員は、表決に加わることができない」(参院規則第135条)
などと定められているためだ。改正すべきだという声は与野党から上がっているが、具体的な手続きには入っていない。この規則が憲法の規定を踏まえて作られているためだ。第56条の
「両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」
という文言だ。
オンライン国会を可能にするためには、何らかの形で「出席」の文言を処理することが必要だが、その方法をめぐって与野党で意見が割れている。21年12月16日の衆院憲法審査会では、与党筆頭幹事の新藤義孝衆院議員(自民)が
「緊急事態条項については、議員任期の延長のほか、新型コロナ禍におけるオンライン国会の是非の問題、国会機能の維持の観点から重要な論点を含むと思っている」
と発言。自民党が改憲で盛り込むことを目指す緊急事態条項と、オンライン国会を結びつけて議論を進めたい考えを示した。これに対して野党筆頭幹事の奥野総一郎衆院議員(立憲)は、
「この『出席』を、オンライン出席を解釈で含めれば、すぐにも実現できる。憲法改正なんかやっていたら間に合わない」
「解釈でできるところ、現行法制でできるところで、きちんとまずは手当てをすべきではないか。コロナを奇貨として改憲論議を進めるというのは、私は拙速だし、間違っていると思う」
などと発言。憲法を改正しなくても「出席」の文言に「オンライン出席」も含まれると解釈すればオンライン国会は可能になる、という主張だ。