旧暦の大晦日にあたる2022年1月31日夜、東京タワー(東京都港区)が中国の旧正月(春節)を祝う赤色にライトアップされた。春節にともなうライトアップは19年に始まり、今回が4回目。
春節のライトアップでは、21年から展望台メインデッキの窓に漢字2文字をLEDで投影している。21年は「希望」で、22年は「未来」。22年は日中国交正常化から50年の節目でもあるが、「爆買い」をもたらした往来もコロナ禍で途絶え、尖閣諸島をめぐる問題や、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題など課題は山積。両国関係の「未来」は見通せない状態だ。東京タワー周辺には習近平国家主席の国賓としての訪日に反対するグループが繰り出し、怒声がこだまする中での異例のライトアップになった。p>
福原愛さんがヘリコプターから東京の様子をレポート
赤色ライトアップは春節に加えて、2月4日に開会式が開かれる北京冬季五輪へのエールの意味を込めた。投影された「未来」の2文字で、日中友好の発展や、新型コロナの早期収束への願いを表現している。
19~20年の点灯式は、春節休暇で多くの観光客の来日を歓迎する内容だったが、21年は新型コロナウイルスの感染拡大で一転。来賓からは感染の収束を願う発言が相次いだ。22年の点灯式は、2年連続で観客や報道陣を入れない形で規模を縮小して開催された。
元卓球の五輪メダリスト・福原愛さんがヘリコプターから中国語で上空の様子をレポートしたほか、和太鼓演奏集団「DRUM TAO」(ドラムタオ)がパフォーマンスを披露した。
岸田氏は祝辞こそ寄せたものの...
岸田文雄首相は
「新型コロナ感染症のまん延以来、国際社会は協力して、この困難な課題に立ち向かってきました。日本も各国にワクチンを供与するなどの国際貢献に努めてきました。日本は、自らが苦境にあった時、温かな手を差し伸べてくれた方々への恩を忘れません。世界が苦境にある時、自らの力が及ぶ貢献を続けたいと思います。日本は、これからも国際社会と協力してまいります。新型コロナを克服し、新しい時代を切り拓くため、私も全力を尽くします。寅年の本年が皆様にとって、力強い生命力に溢れ、向上する佳き年となりますように」
などとする祝辞を寄せた。
ただ、岸田氏は1月27日に放送されたBS-TBS「報道1930」で、21年10月に習氏と電話会談した際の様子を
「50周年という年に向けて前向きな会話もできたというふうに思うが、一方で香港であったり新疆ウイグルであったり、言うべきことはしっかり言わなきゃいけないということで、私も申し上げさせていただいた。こうした様々な対話、意思疎通、これは大事にしながら 日中関係を現実にどうするのか、これを判断していきたいと思っている」
と述べており、先行きは見通せない状態だ。
安倍政権下の20年春に予定され、コロナ禍で延期になっている習氏の国賓としての来日についても、岸田氏は「具体的にいつ、というようなことを論ずる段階ではない」としている。
18時30分にカウントダウンのパフォーマンスとともに、17段の階層に設置された268台のLEDライトがタワーを赤色に染めた。抗議活動を行う集団も姿を見せ、
「中国共産党、習近平を打倒せよ!」「中共粉砕!」
といった罵声も周辺に響いた。
ライトアップは1月31日24時(2月1日0時)まで。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)