プロボクシングの元WBA世界ミドル級王者・竹原慎二氏(50)が2022年1月28日に公開したユーチューブ動画で、ルール無用の高校生に「真の強さ」を解いた。
動画は「『井の中の蛙だよ』勝つために手段を選ばない高校生に竹原が本当の強さを教えました」とのタイトルで公開され、スパーリングやミット打ちを通して高校生に格闘技選手としての心得を伝えた。
サッカー、キックボクシングでも「辞めてくれ」
今回の企画は、高校生の母が竹原に相談を持ち掛けて実現した。24日に公開した動画では、母が竹原に相談する様子が収められており、息子の言動に手を焼いている母がボクシングを通じて改心を望み、竹原との面会を依頼した。
母によれば、息子は「結果が全て」「力が正義」との考えを持っており、たびたび周囲と衝突した。幼稚園から中学3年の秋までサッカーをしていたが、勝ちにこだわるあまりチームの仲間に暴言を吐くなどし、コーチから「辞めてほしい」と言われたという。
その後、キックボクシングを始めたものの、ここでも周囲とうまくいかなかった。初心者に対して偉そうな態度をとったり、ジムの代表とスパーリングをした際に代表にケガをさせたりしてしまい、他の練習生とのスパーリングでケガを負わせたら困るとの理由で「辞めてくれ」と言われたという。
竹原氏は今回、自らスパーリングを行うことはせず、プロを目指すジムの練習生にスパーリングの相手をさせた。
「キックはちょっと、自分が気分が上がっちゃったんですけど」
スパーリングでは高校生が力強いパンチを打ち込みポテンシャルの高さを見せるも、相手をコーナーに追い詰めた際に右足ででん部に蹴りを入れる場面があった。竹原氏は「おい、二度とやるなよ」と警告。すると高校生は「蹴っちゃったすね」と悪びれることなく答え、竹原氏は思わず「蹴っちゃったすねじゃねえよ」と声を荒げた。
練習生とのスパーリング後は、アマチュア経験のある番組スタッフとスパーリングを行った。ところが、高校生はここでも反則技の「裏拳」を連発し、竹原氏の怒りを買った。
スパーリングを終え、反則を繰り返した高校生に竹原氏が「ルール分かってないの?分かってるけどわざとやったの?」と優しいトーンで質問すると、高校生は「キックはちょっと、自分が気分が上がっちゃったんですけど」と返答。
竹原氏は「そこまでして勝ちたいのはわかるけどさルールが一番だからね」と諭し、「強くなってもやっぱり謙虚な奴が応援されるからね。適当なことをやって威張っている奴なんて今の時代応援されないんだから。負けん気が強いからそう見えるかわかんないけど、もうちょっと優しさがないとダメだよ」と語りかけた。
「やっぱり否定ばっかりされてるからさ...」
竹原氏のアドバイスに高校生は「今日のスパーで分かったんですけど勝つことは必要なんですけどそれまでの過程もしっかり大事にして色んな人が関わってこういうところに立てているので感謝とか全部含めてひとつひとつの行動していきたい」と何かを感じ取った様子だった。
最後に「頑張れよ」との言葉を掛け高校生とがっちり握手をした竹原氏は「俺もそうだったけどさ、やっぱり否定ばっかりされてるからさ全てそうなっちゃうんだよね」と自身の少年時代を振り返りしみじみ語った。
竹原氏の愛情あふれる教育的指導に動画のコメント欄には「竹原さんは真剣に向き合って体張ってるから、やっぱり番組の重みが違う」「竹原さん優しい!見てて感動しました!」「少年のこれからが楽しみですね」「竹原さんの言葉には重みがあるから彼に何か響くものがあれば良いな」などの声が寄せられた。