手足3本失った僕が掴み取った日常 「利き手じゃないけど...」重ねた練習、今では家事にPCまで

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日常生活のことは大体左手でできるようになった

   横浜の病院を約2か月で退院した後、埼玉のリハビリテーションセンターに移ると、左腕の筋力トレーニングに励みました。左手だけの生活で困らないようにするためです。何しろ全部左手でやらないといけない。たとえば重い荷物を運ぶ場合も片手です。PT(理学療法士)の先生方と一緒に、義足で歩く練習をするのと並行して筋力を鍛えました。

   過去に筋トレをしたことはなくて、元々筋力は弱かったです。トレーニング室で筋トレと体幹トレーニングを続けたほか、ベッドにゴムチューブをつけておいて、暇さえあればずっと引っ張っていました。毎日トレーニングした結果、もともと30キログラムもなかった左腕の握力は、倍近くの50キロ弱まで上がりました。

   今、航空関連会社で経理の仕事をしていますが、パソコン作業も当然左手1本。けがをした20歳までは別の会社で営業をしていて、パソコンはあまり使ったことがなかったです。タイピングも慣れていませんでした。けがの後、これからパソコンは絶対に必要だと思って練習しました。今ではブラインドタッチもできます。

   日常生活では左手1本で料理もできるし、服も着られます。掃除、洗濯もできます。ハンガーや洗濯バサミも片手で使えます。ほぼ諦めたのは靴紐を結ぶ動作くらい。それ以外は大体左手でできるようになって、困ることはほとんどないです。

   「スポッチャ」へ遊びに行ったこともあります。左手だけでどれだけ楽しめるか、行く前は分からなかったけど、バッティングでヒットを2本打ちました。サッカーはPK対決でシュートを2本決めました。バスケもバレーも卓球も楽しめました。

   身の回りのできることは自分でやっていくと、あの時病院で決めてから、左手を自在に使えるようになるため色々な練習を積んできました。できることは自分でやると決めたのは、「何もできない人」と思われたら悔しいから。僕自身、事故で右手と両足を失った直後は「何もできない」と思っていました。でも「左手があるから、まだ自分で決めつけてはいけない。やってみよう」と前を向いて、左手の力を磨き上げてきた結果、ここまで来ることができたんです。

(構成:J-CASTニュース編集部 青木正典)

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