JALにとってのポイントは「今回、確実な需要が見込めるというところ」
今回の取り組みのポイントのひとつが、JALが自社で機体を持つわけではない、という点だ。JALの岩越宏雄執行役員(貨物郵便本部長)は1月21日のオンライン会見で、
「今の航空貨物需要を見れば、貨物(専用)機を持っていることが非常に有利に働くとは思う」
とする一方で、次のようにリスクにも言及。今回の取り組みに踏み切った理由を説明している。
「やはり過去ずっと保有してきた中で、景気の動向をかなり受けるビジネスであり、ボラティリティが非常に高いビジネスであることも、一方で認識している。そういった中で今回、確実な需要が見込めるというところ、これがひとつのポイントであると思うし、加えて、今後の社会環境等々を考えると成長性のある市場ではないか」
その上で、
「今のところ、自社でフレイターを保有する計画はない」
と述べている。
一方のヤマトHDにとっては、引き受ける荷物が増える中で、働き方改革関連法の施行で24年4月1日から自動車運転業務の年間残業時間の上限が960時間になる。ヤマトHDの事業会社、ヤマト運輸の梅津克彦執行役員(戦略渉外担当)によると、長距離運送の場合「地域によっては、途中で乗り換えを行わなければならない現象が起きてくる」ため、安定したドライバーの確保が問題になってくる。空路という形で、900~1200キロの長距離の輸送能力を自前で持つことで、今後伸びる貨物需要の一部を担う。さらに、災害で陸路が使えなくなった際の輸送手段を補完する目的もあり「持続的かつ強靭な輸送ネットワークを保有し、確立」を目指す。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)