「ゴミ拾いに経済的サイクルを持たせる」
「先輩ダイバーも諦めたほどの量です」とは言うものの、釣り場に潜って根掛かりの回収を続けている。一度ダイビングで潜ると多い時は1回で100本から200本が回収可能で、1日3回の潜水で500本程度は回収できる。「1カ月清掃だけを続ければ何とかなる量ではあります」と話すが、その間にも放棄される根掛かりはある。「2021年には約1万本の根掛かりを回収しました」という量だ。
根掛かりの回収は釣り場を綺麗にするだけがメリットではなく、ルアーを廉価で再利用できる。回収したルアーに再塗装などをほどこし、自身のネットショップ「Marine Sweeper」で販売している。定価の20~50%ほどのディスカウント率で安価だ。
この活動を始めるにあたり、土井さんは法律面も調べ挙げた。明治32年制定の水難救護法によれば、第二章「漂流物及沈没品」の項で、水中の漂流物・沈没品は拾得者が市町村に引き渡す責務を負うが、所有者が6カ月以内に現れない場合は拾得者が受け取る権利を有すると定めている。土井さんは海中の清掃にあたって、市町村の了解を得たエリアから実施している。有志と共に実践中の海中の清掃と資源の再利用で釣り産業のサステナブルを目指す。
「釣りという文化をサステナブルなものにしたいと思っていて、ゴミ拾いに経済的サイクルを持たせることがその解決の糸口になると思っています。完全な解決には至らなくとも、今やっている活動がプラットフォームとして仕組化されて軌道に乗れば、もっと成果を上げていけると思います」(土井さん)
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)