立憲民主党の菅直人元首相が、日本維新の会と創設者の橋下徹氏について、「第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」と投稿し、維新が抗議している問題で、立憲の泉健太代表は2022年1月28日の記者会見で、党として特段の対応を行わない考えを示した。
泉氏は、維新の内部で考え方が統一されていないことや、抗議文を出した意図が不明なことを指摘。菅氏に抗議せず党にのみ抗議したことも「どういう意図なのかなということを感じるところもある」と疑問視した。
1月末までにツイートの撤回と謝罪を要求
維新の抗議文は1月26日付で、馬場伸幸共同代表から泉氏宛て。菅氏のツイートについては
「言うまでもなく、まったく事実に基づかない妄言であり、誹謗中傷を超えた侮辱と断じざるを得ない。国会議員としてはもとより、人として到底許されるものではない」
と非難する内容だ。立憲との関係については、
「ましてや菅氏は民主党政権下で内閣総理大臣を務め、なおも野党第一党の重責を担う大幹部である。その発言の重大性を真摯に受け止めるべきであり、これを放置するのであれば貴党の責任も問われると考える」
と主張し、1月末までにツイートの撤回と、菅氏と立憲による謝罪を要求していた。
ただ、維新幹部の考え方はさまざまで、吉村洋文副代表(大阪府知事)は1月26日の記者会見で、
「維新の会に対して言われている以上、これは立憲の最高顧問として言われている以上、我々は維新の会として立憲民主党に抗議するのは当然だし、謝罪を求めるのは当然」
と、ツイートが維新について言及していることを問題視。一方、松井一郎代表(大阪市長)は、1月27日の記者会見で
「僕がやっている政策について、『これは例えばどこどこの独裁者の政策と似てるじゃないか』と政策なら、それは僕が反論するけれども。『それは違う』とか、政策の中身の話になる。人の何かを思い起こさせるというのは、これはダメよね」
と話し、ツイートが橋下氏への人格攻撃になりかねない点を重くみていた。
「どこの何に対して(の抗議)、というところがいまいち不明確」
泉氏の記者会見では、こういった経緯を念頭に置いた「ちょっと副代表と代表で感じが違う」という記者の指摘に、泉氏も
「維新さんの中でも、そういった意味ではいろんな考え方で統一されていないのかな、という気もいたします」
と同意。その上で次のように話し、維新の意図をいぶかしんだ。
「何に対して、どこの何に対して(の抗議)、というところがいまいち不明確であるということも含めてですね、党としては何か今対応とか、関与をすると言ってもですね...。ちょっとその意図がよく...なかなか...どういった意図をお持ちなのか、という感じはいたしますね」
菅氏については、本人が
「ツイッターは党の指示ではなく私の一存で発した、私の感想を述べたもの。維新からは私には直接何も言ってきていない。私のツイッターに抗議するなら私にするべき」
と反応していることや、議員会館では菅氏と維新・馬場氏の部屋が隣になっていることに言及しながら、
「まだ菅さんの方には何も届いていないということも、少しどういう意図なのかなということを感じるところもあります」
と述べた。
記者から対応方針を改めて問われると、
「基本的に党としては今、関与をするということは考えておりません」
と明言。改めて維新の対応を疑問視した。
「どういう意図を持っておられるのかも、なかなかわからない、という中で、なかなか理屈上、なぜ『今回だけは』というか、党に抗議文なるものを持ってこられたのか。これまでの維新さんの、それがスタンダードなのか、どういう場合に抗議文というものを持ってくるというお考えなのか、その辺、ちょっと分からないですね」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)