電車タバコ注意の高校生を暴行 逆ギレ男の「正当防衛」主張は成立するのか、弁護士に聞いた

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正当防衛は「暴力の程度が違い、攻撃も続けていないので、成立しない」

   この男は、警察が駆け付けると電車に乗って逃げ、1月23日深夜にJR宇都宮駅の構内にいたところを警察に見つけられた。

   男は翌24日未明、傷害の疑いで栃木県警下野署に逮捕された。高校生は、右ほおの骨を折る重傷だという。

   男は、「暴行したことは間違いない」と容疑を認めているというが、逮捕直後は、「相手がケンカを売ってきた」と供述したという。その後の調べで、男は、「正当防衛だった」と主張したと報じられている。

   この主張は、高校生が押し返したことに対するものとみられるが、若狭弁護士は26日、「正当防衛が成立するような案件ではありません」とJ-CASTニュースの取材に答えた。

「まず、仮に高校生が先に手を出してきたとしても、暴力の程度が違います。頭を踏みつけてまで大ケガをさせており、バランスが取れていません。2点目として、高校生がその後は手を出していないとすると、すでに暴力が終わっており、攻撃を受け続けていません。継続的な攻撃を受けていないなら、暴力を加えるのはありえないところで、正当防衛が成立する余地はありませんね」

   傷害罪の場合、ケガが1か月未満のもので、前科・前歴がなければ、正式起訴されて懲役刑の裁判にならず、略式起訴されて罰金刑になるのが通常だという。

「今回の場合、寝そべってタバコを吸っていたり、ぜんそく持ちだという高校生が注意したりしたとされる経過や状況が悪質ですので、ケガが2、3週間でも正式起訴になることはあると思います。ただ、前科・前歴がないと、厳しくても懲役6月で執行猶予が付くでしょう。前科・前歴がある場合は、執行猶予中の犯罪なら懲役1年~1年6月の実刑になる可能性があります。執行猶予中でないのなら、事件の内容によって実刑もありますが、懲役刑に執行猶予が付くかもしれません」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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