「うちの店くらいは配慮してあげたい」
張り紙は、20年3月の開店当初から掲示している。藤川さんは経緯について、「僕自身と同じような体験をさせたくない」という思いがあったと話す。
外食には自炊に対する息抜きのような意味もあると藤川さんは考えている。しかし、小さな子供を連れていると、泣き声に不快感を示されるなど、どうしても周囲の目が気になるのだという。
「ちょっと騒いだり泣いたりしたらすぐ子供を怒ってしまう...うちもそうだった」
「だから結局外食とか行っても楽しい雰囲気じゃなくなってしまうというか。周りのことばっかり考えて楽しくなかったり」
そういった状況では親自身の食事もままならなかったと振り返る。
藤川さんは外食をネガティブに印象付けるような、「ピリピリした空気」を子供に味わせたくないとする。実際に経験したからこそ、子連れでの外食は「本当に大変だっていうことは分かっているつもり」だという。
過去に勤めた飲食店のなかには、子連れ客を注意する店もあったという。事情は分かるとしながら「気持ちの良いものではないなと個人的に思ってはいた」と話し、
「一概には言えないですけど、うちの店くらいは配慮してあげたい」
「預かった2、30分の間くらいはなんとか良い空間にしたい」
と意気込む。ほかにも張り紙を掲示することで子連れ以外の客にとっても、「住み分けにはなるのかなというのはあります」と所感を述べる。そのうえで藤川さんは改めて子連れ客に「本当に遠慮しなくてもいいですよって事は伝えたい」とする。
「とにかく何でも言ってくださいっていう事なんですよね。(張り紙では)それを具体的に言っただけで、別に表記してないことでも僕らが出来ることがあるのであれば、やってあげたい」