漫画家のムロタニ・ツネ象さん(本名:室谷常蔵)が2021年11月22日、亡くなっていたことが2022年1月25日、明らかになった。87歳。過去の作品を掲載していた「マンガ図書館Z」を運営するJコミックテラス(東京都千代田区)が発表した。
ギャグ漫画から恐怖漫画まで多彩な作風で知られ、特に1970年代以降には歴史学習漫画を多く手掛けた。
「ファイトだ!!ピュー太」などアニメ化作品も
1934年生まれ。1953年に「毎日中学生新聞」掲載の「日本歴史漫歩」でデビューした。
50年代から60年代にかけては「ピカドンくん」「わんぱくター坊」など、少年誌でギャグ漫画を多く手掛け、テレビアニメ「ファイトだ!!ピュー太」(1968年)の原作となった「ドクター・ツルリ」など、アニメ化作も生み出した。恐怖漫画のジャンルでも、「地獄くん」などの作品がある。
子ども向けの学習漫画を多く手掛けたことでも知られ、特に「学研まんが日本の歴史」「学研まんが世界の歴史」「学研まんが人物日本史」などに筆をふるった。「人物日本史」では、卑弥呼や伊達政宗、坂本龍馬といった人物の生涯を生き生きと描いた。
近年では、上記の学習漫画などが電子書籍化、漫画サイト「マンガ図書館Z」などで50~60年代の作品がオンライン公開されている。
「藤子F先生を『藤本』と呼び捨てできた」
Jコミックテラスの発表によれば、近年は自宅で静養しており、2021年11月22日、「ご家族に見守られて静かに旅立たれた」という。すでにJコミックテラスが着手しつつあったという原画の保存などの事業は、今後も継続される。
Jコミックテラス会長で漫画家の赤松健さんは25日、下記のようにツイートした。
「藤子F先生を『藤本』と呼び捨てできたレジェンド級漫画家、ムロタニ・ツネ象先生が亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします」
ツイッター上では、「ワタシの日本史知識はほとんどムロタニツネ象先生画の学習漫画」「わたしは伊達政宗もチンギス・ハンも、ムロタニツネ象先生の漫画のイメージだな......ずっと」「ムロタニ先生の歴史マンガが私を歴史好きに育ててくれた」など、特に歴史学習漫画に親しんだ層を中心に、悼む声が上がっている。
漫画家 ムロタニ・ツネ象先生のご逝去につきましてhttps://t.co/HCH0UQPl6M
— 赤松 健 ⋈ @UQ HOLDER! 最終話執筆中 (@KenAkamatsu) January 25, 2022
★藤子F先生を「藤本」と呼び捨てできたレジェンド級漫画家、ムロタニ・ツネ象先生が亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。
今後は各所と協力して、原稿の保管を行います。メディア取材などはマンガ図書館Zへ。 pic.twitter.com/u3iwXjuuEs