兵庫県高砂市が職員用パソコン約900台に広告を表示させる取り組みをしている状況が地元紙の神戸新聞に報じられ、ネット上で様々な意見が出ている。
地域経済支援にもなると市は説明するが、「広告費稼ぐために業務の効率落とすのか」などと疑問も相次いでいる。市の担当部署に受け止めについて聞いた。
地域経済を支援しながら、市の財源確保にもつなげる狙い
高砂市のICT推進課が2022年1月24日、J-CASTニュースの取材に答えたところでは、職員のパソコンに広告が表示される取り組みは、市では、2013年から行っている。地域経済を支援しながら、市の財源確保にもつなげるのが目的だ。神戸新聞によると、滋賀県や兵庫県などでも行われているという。
仕組みは、職員がパソコンを起動し、IDとパスワードを入力するログオンを行うと、画面に広告画像(縦17センチ、横21センチ)が15秒間現れる。また、昼休みのときなどに画面をロックして、戻って来てからIDなどを入れて解除するときも広告が出る。
広告は、最大4つがランダム表示され、右下にある「再読込」ボタンを押すと、別の広告が出る。「表示延長」ボタンを押すと、さらに15秒表示される。
15秒を待たずに閉じるときは、右上の「×」を押すか、右下の「閉じる」ボタンを押せばいい。
市では、導入時には、1か月1万5000円の広告料を設定していたが、5か月間利用はゼロだったため、その後5000円に引き下げた。さらに、21年12月からは、コロナ禍で苦境が続く地元企業を支援しようと、22年4月まで2000円に引き下げた。
広告料引き下げについて、神戸新聞のウェブ版が1月23日に報じると、ツイッター上などでは、様々な意見が書き込まれた。
「すぐ×を押す職員も多いが、一瞬目に入るので広告効果ある」
「職場に広告って発想は少し面白いかも」「役所から受注を引っ張るのに良さそう」と好意的に見る向きはあったものの、厳しい声も多い。「その広告みてる職員の時間って税金だろ?」「職員のパフォーマンス低下にしかならない」「『職員が仕事中に飲食店の広告を見てる』と苦情を入れられそう」といった書き込みが相次いでいる。
こうした厳しい指摘に対し、高砂市のICT推進課は、取材にこう説明した。
「×や閉じるボタンを押すと広告がすぐに消えますので、業務への影響や支障はありません。広告は毎日出ていますので、職員は、そんなに長い時間は見ていないですね。広告がうざく感じることもなく、大丈夫だと思っています」
最近は、広告の申し込みが少なくなっており、20年度は3か月分の3つ、21年度は2か月分の2つしかない状況だ。2000円に引き下げてからも、1月の広告1つしかないという。そのような状況で広告効果があるのかについては、こう強調した。
「職員が広告を見ないことで申し込みが減ったわけではありません。確かに、すぐ×を押す職員は多いですが、広告は、一瞬でも目には入ります。興味が沸けば、職員は見ますので、広告の効果はあると思っています。広告を出した地元の飲食店などでは、職員の利用が増えたと言ってくれたところもあります」
財源確保については、これまでの8年ほどで飲食店、住宅メーカー、マッサージ店など35社から計約113万7000円の収入があったという。
神戸新聞の記事が出たことで、いくつかの業者から問い合わせがあったといい、今後も職員パソコンの広告は続けるとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)