ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第35回です。今回は「家族に私物を捨てられた話」がTwitterで何度もバズる背景と、時代による変化を探ります。
Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>
「大切なもの」を捨てられた体験への反響
先日、実家を1か月ほど離れていたあいだに子どもの頃から集めていたマンガやおもちゃを家族に捨てられてしまったうえ、自分の部屋もなくなったという人のツイートが大きく拡散。このユーザーは「家に帰る理由はなくなった」とまで発言しています。
<実家をたった1か月離れた間に、子どもの頃から集めてた漫画や玩具をほとんど捨てられていた もう家に帰る理由が無くなった - Togetter>
こういった「家族に私物を捨てられた話」が注目されるのは今回が初めてではありません。以前から同じような体験談はTwitterに投稿されており、その度に引き合いに出される「伝説のコピペ」があります。
根強い「鉄道模型を捨てた妻」のイメージ
2006年、ネット掲示板の2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)に「鉄道模型を捨ててから、夫の様子がおかしい」というエピソードが書き込まれました。
妻が夫のコレクションである古い鉄道模型を無断で捨てたところ、強いショックを受けた夫が消耗品以外の私物を買わなくなるなど様子が激変。後になって妻が後悔するという内容で、さまざまなサイトに転載されて「伝説のコピペ」になっています。
今でも、家族間での価値観のすれ違いや私物の処分にまつわる話があると、このコピペを連想するネットユーザーが多いようです。
<嫁に大事なフィギュアを捨てられた男性を見て、伝説のコピペ『鉄道模型を捨てた嫁』を思い出す パートナーが勝手に無断で個人的な趣味のモノを捨てることについて様々な意見相次ぐ - Togetter>
家族との価値観の違いがトラブルを引き起こす?
「パートナーが勝手にものを捨ててしまった」という話はTwitterにもたびたび投稿されており、中には離婚に至ったケースもあるそう。それほど大きな断絶を生んでしまう行為なんですね。
また、冒頭のエピソードのように親が勝手に子どもの持ち物を処分するパターンも多い模様。自分の体験を重ねて「自分のものは自分で管理させてほしい」と訴える人もたくさんいるようです。
<配偶者に大切なコレクションを捨てられて離婚した話 - Togetter>
<とっておいたアニメグッズを「好きそうな子に譲っておいてあげた」という連絡がきた。ああいう時、「いいことをした」風で語るのなんなの?→「経験ある」「確認はして欲しい」の声 - Togetter>
共同生活のルールは大切
こういったエピソードは「鉄道模型を捨てた嫁」のコピペの印象もあってか、「捨てられた人」への同情で語られがちでしたが、最近は「捨てた人にも言い分がある」という意見が現れるようになりました。
話題になった「勝手に私物を捨てられた話」に対し、家族の共有部分を奪っていなかったか、管理や掃除は自分でやっていたか、など「共同生活のルール」の問題としてとらえ直す声が多数挙がっています。
<ネットよくバズる「勝手に私物を捨てられた」話、管理状態がちゃんとしてたか等の観点がすっ飛ばされがち - Togetter>
また、「家族なら生活環境は共有財産」「みんなの家だからこそ自分だけのものは自分で管理して欲しい」といった、「捨てたくなる気持ち」に寄り添う反応も見られました。
このようにさまざまな意見が出るようになったのは、片付け術や家事の時短ライフハックが広まり、「所有物の管理方法」への意識が高まったことも理由のひとつかもしれません。
<「この情報無料でいいの...!?」毎日の掃除や整理整頓が時短になるよう心掛けている方の工夫が目から鱗すぎる - Togetter>
これまで考察してきた「家族に私物を捨てられた話」が繰り返し話題になる理由として、次の3つが挙げられます。
・Twitterにはコレクター気質の人が多く「価値観を理解してもらえない話」が共感されやすい
・最近では「捨てた側」の意見も支持されるようになり、ツイートの幅が広がっている
・共同生活のルールやコミュニケーションなど、さまざまな切り口で議論が展開される
同じ話題が何度も繰り返されているように見えて、以前よりも問題解決に向けて前進しているようですね。以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。