「食器を乾かしていただいてありがとうございます」――。家電製造で知られる山善(大阪市)の公式ツイッターは、同社の食器乾燥機を使用したツイッターユーザーに感謝を伝えた。このやり取りを見たユーザーから寄せられたのは、どういうわけか「すまん...すまん...」「ごめんなさい」といった声だった。
なぜ、なんとも申し訳なげな言葉ばかりが集まったのか。そこには、製品の使用方法をめぐる深い事情があった。
「本商品はあくまで食器乾燥機であり...」
山善は1947年に創立。機械工具の販売店としてスタートし、その後は住宅機器や家電、インテリアなどを取り扱う専門商社として成長した。現在は、大手メーカー品より廉価で機能がシンプルな「ジェネリック家電」の代表的なメーカーとしても知られる。
そんな同社が2003年3月から販売する「食器乾燥機 YD-180」は、5人分の食器が一度に乾燥できる製品。山善の楽天公式ショップでは、1台6480円(税込み)で売られている。
この製品について、山善の広報担当者は22年1月21日、J-CASTニュースの取材に「本来の目的(食器を乾かす)でご使用されている方がほとんど」だと話す。しかし一部では、「本来の目的」とは違う使われ方をされているという。
「ガンプラの塗料を乾かすのに使っています」
「格段に制作スピードが上がりました!」
「もっと早く買っておけばよかった」
なんと食器ではなく、プラモデルの塗装を乾かすために乾燥機が用いられているのだ。上記の声は、ネット上に書き込まれた「モデラ―」(プラモデル愛好家)たちのもの。山善の広報担当者はこうした声を「Twitterやネットのクチコミ、ユーザーレビュー等で拝見していた」という。どんな思いを抱いたのだろうか。
「本商品はあくまで食器乾燥機であり、プラモデルを乾燥するものとして開発したわけではないため、メーカーとしては複雑な心境です」