昨季のプロ野球は近年まれに見る「新人大豊作」だった。
阪神の佐藤輝明は新人の日本人左打者で最多の24本塁打をマーク。左腕・伊藤将司も2ケタ勝利に到達し、中野拓夢は正遊撃手で盗塁王を獲得した。阪神のドラフト史上に残る「当たり年」と言って良いだろう。DeNAの牧秀悟は史上4人目の打率3割&20本塁打をクリア。シーズン終盤は4番に座り、打率.314は新人歴代3位タイのハイアベレージだった。
その中でセリーグ・新人王の記者投票で201票と、2位・牧の76票に大差をつけてタイトルを獲得したのが、広島の絶対的守護神として53試合登板で0勝1敗37セーブ、防御率0.86と圧巻の成績を残した栗林良吏だった。
「決め球」フォークに疲労の影響?
「社会人№1投手」の触れ込みで入団したドラ1右腕は、期待以上の活躍だった。開幕から22試合連続無失点の球団新記録を達成。8月の東京五輪でも侍ジャパンの守護神を務め、全5試合登板で2勝0敗3セーブ、防御率1.40と金メダル獲得に大きく貢献した。
37セーブは15年のDeNA・山崎康晃と並ぶ新人最多タイ記録。今季も守護神として期待されるが、気になるのは登板過多による故障の懸念だ。
「栗林は真上から投げ下ろす独特のフォームで肩、肘に負担がかかる。プロで1年間プレーするのは初めてだったので当然疲れも出てくる。シーズン終盤は肘の位置が下がり、ウイニングショットのフォークの落ちが悪くなっていた。
オフにケアをしても疲れは抜けきらないでしょう。開幕に合わせればよいので、2月の春季キャンプはスロー調整で良いと思います」(スポーツ紙記者)
抑え投手めぐる「不吉なジンクス」とは
プロ1年目に抑えを務めた投手は「大成しない」という不吉なジンクスがある。
元中日・与田剛、森田幸一、ソフトバンク・三瀬幸司、元広島・小林幹英は新人時代に救援で大車輪の活躍を見せたが、2年目以降は故障や不調でその輝きが消えてしまった。DeNAの山崎など例外もいるが、2年目に限っては成績を大きく落としているケースが多い。
栗林の実力は申し分ない。「2年目のジンクス」打破は、故障しないで1年間完走できるかが大きなカギを握りそうだ。(中町顕吾)