福島県の水族館「アクアマリンふくしま」(いわき市)が、海と館内を繋ぐパイプに野生の「タコ」が入り込んでいたとツイッターで報告した。ネット上では、パイプのろ過装置に侵入したタコの姿に衝撃が広がっている。
ところでこのタコ、その後どうなったのか?J-CASTニュースの取材に水族館が答えた。
タコは「元気」、海へ放流
アクアマリンふくしまは2022年1月18日、水族館に送る海水の異物を漉し取るパイプ内の「ストレーナー」という装置にタコが入り込んでいたと報告した。パイプの定期点検中だった。
投稿に添付された写真は、透明な素材で覆われたパイプの断面を映したもので、タコの吸盤が目に飛び込んでくる。8本の腕を広げて張りついているようすだ。パイプの下方にはバケツが用意されている。
ツイッターでは「でかいのが詰まってる」「こんなことある?笑」などと驚きが広がっているほか、「この子は一体どうなったんだ...」とタコの行方にも関心が寄せられている。
投稿を行なったアクアマリンふくしまの施設管理者は20日、その後の対応についてJ-CASTニュースの取材に、
「画像に映っているバケツに入れ、専用の蓋がなかったのでホウキで脱走を防ぎつつ、すぐ目の前の海に放流しました」
と明かした。野生のタコだとして発見時は「珍しいな」と感じたという。タコの状態は「元気でした」と伝える。投稿が注目されていることを受けて、
「水族館の展示を支える職員の地道な作業にもご注目頂けて、大変うれしく思っています」
といい、「見過ごされがちな施設管理部門にとって、大変励みになります」と喜びを表していた。
「タコはかなり細い隙間を通ることができる」
清浄な展示水槽を維持するため、海水を運び入れるパイプには3箇所にわたってストレーナーなどのろ過装置を設置しているという。毎日状態を確認し、清掃の頻度は数時間から数日間隔など海の状況によって変動する。
ストレーナーにタコが入っていた理由について、施設管理者は次のように推測した。
まず、海中にあるパイプの大もとは「砕いた岩を積めた籠」で覆っているが、目詰まりを防ぐために腕が通る程度の穴を幾つか開けていると説明。そして、
「タコはかなり細い隙間を通ることができるので、その穴を通ったか、籠の中の岩の隙間を通ったと思われます」
とする。また、今回はストレーナーで止まっていたが「そこをすり抜けていつの間にか水槽に住み着いた生き物もたくさんいます」とも明かす。
一例として、館内のエリア・ふくしまの海で展示している「キタミズクラゲ」をあげた。「いつの間にか水槽内で増えていた」という。
続けて施設管理者は来館者に向けて、下記のとおり伝えた。
「普段皆さまが何気なく見ている水槽の壁にも、いつの間にか生き物がくっついて増えていることもあります。今度お越しになった際、そんな生き物にも注目して見てください。
どれがどれだか分からないと思いますので、近くに飼育員がいたら捕まえて聞いてみると、面白い話が聞けるかもしれません」