夏の甲子園で準優勝したこともある日本文理高校(新潟市)の野球部員が、別の部員を何度も殴るような様子を映した動画が「いじめ」だとしてネット上に投稿され、物議を醸している。
高校側は、部員が別の部員を殴るなどしたことは認めてサイト上で謝罪したが、「いじめではなく暴力行為だと考えています」と話している。
「痛い、痛い」と悲鳴を上げても、さらに殴る
動画ではまず、オレンジ色の上着を着た男子部員が、更衣室のような場所に立っているシーンが映る。その前には、青いパーカーを着たスポーツ刈りの男子部員がしゃがんでおり、立ったままの加害者の部員は、いきなり右手で被害者の胸の辺りにパンチを入れた。
今度は、左手でパンチを入れ、さらに殴ると、被害者は、窓際に逃れた。被害者は、体をすくめ、怯えたように見るが、加害者は、被害者のおでこにもパンチを浴びせる。すると、被害者は、「痛い、痛い」とおでこを抑えながら、加害者を制止しようとした。
周囲に人がいるのか、笑い声が聞こえる。加害者は、被害者に容赦せず、さらに両手でパンチを浴びせた。
動画は、40秒強あり、これで終わっている。「日本文理高校野球部いじめ」と題され、高校の寮で起きたことを示唆していた。
この動画は、ツイッター上で2022年1月19日、前日に動画アプリ「TikTok」で投稿されてすぐに削除された、と再投稿されて拡散した。日本文理高校の野球部は、甲子園に何度も出場し、お茶の間にも馴染みが深いだけに、ネット上では、何があったのかと驚きの声が上がった。
投稿された動画の内容について、日本文理高校の田中利夫校長は1月20日、J-CASTニュースの取材に対し、「寮の中で部員が別の部員を殴る事実はあった」と認めた。
「注意しても改まらず手を出しており、いじめでない」
「殴った生徒は、殴られた生徒に日ごろから注意していたが、改まらなかったので手を出したということでした。一方的なものではなかったことから、いじめではなく、暴力行為だと考えています」
被害者には、ケガはなかったという。
動画投稿は、1月19日朝に把握したといい、殴った生徒に対しては、校内の規定に沿って特別指導を行うとした。具体的な内容は、まだ決まっていないという。調査が終わって、新潟県の大学・私学振興課や高野連には連絡したとしている。
今後の大会出場については、「まだ何も決めていません」と話している。
日本文理高校のサイトでも20日、「寮内の生徒の問題発生について」と題して報告した。「このたび、多くの方から寮内でのいじめ動画が拡散されているとのご指摘をいただきました。調査の結果、本校の寮内にて野球部生徒による暴力行為があったことを確認しました。関係生徒については、校内の規定に沿って特別指導を行い、以後このような問題が再発しないように対応します」などとして謝罪している。
県の大学・私学振興課は同日、「高校からは、事実確認して調査中だと聞いています」と取材に話した。一般の人から20日に動画について県に情報提供があり、その内容を高校に確認したという。
新潟県高野連の専務理事は同日、「高校から19日に報告を受けました。大会の辞退などは聞いておらず、出場するかどうかについては分かりません」と話した。日本高野連の本部にもすでに連絡したとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)