三省堂国語辞典では「古い言葉」と紹介
アベックという言葉について飯間氏は、視聴者の反応の通り、現在はほとんど使われなくなっており、「カップル」に取って代わられた言葉だと説明した。
「『アベック』はフランス語の『avec』(「一緒に」の意味)という単語が語源ですが、現在ではほとんど使われなくなりました。『三省堂国語辞典』第8版の「アベック」の項目では「2〔古風〕男女のふたりづれ。カップル」と、古風な言葉としています。「アベック」は戦前から戦後にかけてよく使われましたが、1990年代にはかなり古く感じられ、『カップル』が主流になりました。ちなみに、『カップル』も戦前から使われてはいました」
また、その置き換わった時期について飯間氏は、
「先程の説明と重なりますが、非常にざっくり言って1980~90年代といったところでしょう。出久根達郎の短編『紐』(1997年)には『アベックさ。古い? カップルと今は言うのかい』というくだりがあるほか、2010年には朝日新聞が、『アベックはもういない?』とのタイトルで記事を発表しています。同記事では『アベック』について、『1990年代からは徐々に姿を見せなくなる』と解説しています」
また、ドラマの放送を受け、ツイッター上では
「ナウなヤングのアベックが#カムカム」
「ほな、君ら、アベックなん? 10周まわって逆にナウいな、、#カムカムエヴリバディ」
といった、やはり、死語と思しき単語を交えたツイートも見られた。そこで、編集部はこのような例についても飯間氏に聞いてみた。
「『アベック』と『ナウ(い)』は、盛んに使われた時代が違います。『ナウな感覚』は1970年代からの用法、特に『ナウい』は79年から80年代にかけてよく使われた言葉です。70~80年代にも「アベック」は生き残っていたので、『ナウいアベック』と言えなかったわけではありませんが、やはり、『アベック』は70年代以前の感じのする言葉です」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)