AKB48グループの中で最も歌唱力があるメンバーを選ぶ「第4回AKB48 グループ歌唱力No.1 決定戦」の決勝大会が2022年1月12日に千葉県浦安市で開かれ、AKB48と瀬戸内7県が拠点のSTU48を兼任する岡田奈々さん(24)が4回目の出場にして初優勝を果たした。
岡田さんは12年にAKB48の14期生としてデビュー。18年の選抜総選挙では5位にランクインし、姉妹グループメンバーが1~4位を占める中でAKB48のメンバーとしては最高位だった。2つのシングル表題曲でセンターを経験し、すでに「グループの顔」とも言える存在だ。21年には所属事務所を移籍し、ソロ活動が増えていく中で「周りを支えるとか周りを盛り上げるだけではなく、自分個人として成長した姿を見せる」決意の中での栄冠だ。これまでグループを支えていく面が目立った岡田さんだが、終演後の記者会見では「個人としても活躍していく」「1人で羽ばたいていく」「1人で生きていく」といった言葉が相次いだ。ただ、「まだまだ、辞めるつもりはないです」とも話し、現時点でのグループ卒業は否定した。
井上ヨシマサさん「AKBファミリーにいてくれて本当に誇りに思う」
今回の決勝大会には、92人が出場した予選を勝ち抜いた20人が出演。5人ずつ4組に分かれてパフォーマンスし、各組の上位2人が最終審査に進出。8人の中から優勝者を選んだ。優勝者には秋元康氏プロデュースによるオリジナルソロ曲が贈られる。ベスト8と、審査員特別賞に選ばれた1人を加えた9人による「ファイナリストライブ」も予定されている。
岡田さんはEGOISTの「名前のない怪物」、家入レオさんの「未完成」の順に披露。審査員の井上ヨシマサさん(55)は、2曲目の直後に
「もう早くやってよこれ!という感じでしたよ」
と激賞。初回大会からパフォーマンスを見守ってきた岡田さんの成長をたたえた。
「サービス精神もあるし、となりで自分の友達が優勝しているのを見て『良かったね』とか、失敗したやつを一生懸命楽屋でなぐさめたりする姿を見ていたから、やっぱりうれしい。AKBファミリーにいてくれて本当に誇りに思う」
前回優勝のSTU48・池田裕楽さん(17)は2位。1回目の歌唱では、ちあきなおみさんの「喝采」を披露。審査員の亜美さんは、ルックスと歌のギャップに驚嘆していた。
「ブレスさえも歌の一部にしてしまっているので、聞いている側を一切素に戻させない力を感じた。見た目はすごくかわいらしい女の子なのに、歌の貫禄がすごいので、ちょっと目と耳がバグりそう」
3位はSTU48・矢野帆夏さん(22)で、トップ3をSTU48が占めた。
「周りを盛り上げるだけではなく、自分個人として成長した姿を見せる」
終演後に報道陣の取材に応じた岡田さんは、後輩メンバーへの思いを
「STUのメンバーが、これだけ成長してファイナリスト(ベスト8)に残ってくれたことで、私は4回出た甲斐があると思います。みんなの成長をそばで見ることができて、一緒に喜びとか悔しさとかを分かち合えてよかったです」
などと語る一方で、岡田さんの「個人としての成長」に関する言及も多かった。
21年は「エイベックス・アスナロ・カンパニー」に移籍し、AKB48としては1年半ぶりの新曲「根も葉もRumor」のセンターという重責を担った。岡田さんにとっては「みんなに頼ってちゃいけないんだな、という思い」を抱いた1年だ。ソロ活動が増える中で、今回の大会では「周りを支えるとか周りを盛り上げるだけではなく、自分個人として成長した姿を見せる」ことを目指した。
優勝決定直後には、
「先頭に立って頑張らなきゃ!という気持ちで、みんなと一緒に頑張りたいなという思いです」
と話していた岡田さん。「先頭で引っ張る」ことへの思いを聞かれると、「個人としても活躍していく」ことがグループへの貢献にもつながるとの思いを明かした。
「『根も葉もRumor』でAKBの意識がガラッと変わって、いい風が吹いている中での、この歌唱力No1決定戦で、AKBである自分が1位を取った意味は絶対あるなと思うので、ここからこの結果を胸に、自分自身、個人としても活躍していくことで、何か48グループにプラスに働けばいいなと思うので、頑張らなきゃと思っています」
記者の「奈々さん、大丈夫ですか?」の声には...
22年の展望については、次のように話した。
「今年は、個人的にようやくソロでの活動というか、48グループの枠を飛び越えた活動が増えるので、これをスタートとしてどれだけ1人で羽ばたいていけるか、強く1人で生きていけるかな、と思うので、まずは2月に48グループ以外の舞台(編注:「『青い鳥』~メーテルリンク『青い鳥』より~」)、初挑戦の舞台が控えているので、それを頑張ろうと思っています」
仮に第5回大会が開催されても「出場しないです」と断言。過去に3人いる優勝者のうち2人(野島樺乃さん、矢作萌夏さん)はすでに卒業しているため、記者からは「奈々さん、大丈夫ですか?」という声もあがった。
岡田さんは「辞めるかどうか、ですか?どうしようかなー?」。大会の事前インタビューで「優勝して羽ばたいていきたい」という表現を使ったところ、他のメンバーから「優勝したら卒業するんですか?」と言われたことを明かしながら、次のように話した。この1年の活動を踏まえて判断する考えだ。
「いや、まだ卒業は考えていなくて、この1年、1人でどれだけできるか試行錯誤しながら頑張ってみて、どうするか...というところなので、まだまだ、辞めるつもりはないです」
卒業時期の問題とは別に、改めてソロデビューへの意欲も見せていた。
「こういう賞もいただきましたし、(デビュー)10周年だし、『ちょっと事務所さん、ソロデビューさせてくれないかな~』と思っているんですけど、そう甘くはないと思うので、まずは自分の実力を鍛えていきたいと思います。自信を持って『ソロデビューさせてください!』と言えるぐらいの実力や経験を積みたいと思います」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)