昨季のプロ野球は、誰も順位を予想できなかっただろう。ヤクルトが2年連続最下位からリーグ優勝、日本シリーズでもオリックスを下して日本一に駆け上がった。
スポーツ紙記者は「今年もセリーグは大混戦になる」と予想する。
鈴木誠也が抜けても「十分に戦える」
「戦力で言えば巨人が他球団よりアドバンテージを感じますが、独走するほどの力はない。心配なのは今年も先発陣を中4,5日で回す方針を打ち出していることです。昨季の夏場からこのローテーションを導入しましたが、戸郷翔征、高橋優貴がバテて機能せず大失速した。今年も同じ轍を踏まないとは言い切れない。
ヤクルトは奥川恭伸、高橋奎二ら若手の先発投手が台頭しましたが、他球団も研究してくるでしょう。昨年のように勝てるほど甘くはない。
戦力で言えば広島は面白い。鈴木誠也はポスティング・システムでメジャー移籍の可能性が高いですが、投手の柱でFAの去就が注目された大瀬良大地、九里亜蓮が残留したのが心強い。投打の陣容を見ると十分に戦える戦力だと思います」
金メダルに輝いた昨年の東京五輪で史上最多の4選手が選ばれたのが広島だった。
鈴木、森下暢仁、栗林良吏、菊池涼介と侍ジャパンでも中心選手として大活躍。故障で同大会を出場辞退したが、會澤翼も選出された。
「佐々岡監督の手腕が問われます」
打線を見ると、天才的なセンスに定評がある西川龍馬、若手も昨季打率.315をマークした坂倉将吾、正遊撃手の座をつかんだ小園海斗、クリーンアップ候補の林晃汰、リードオフマンとしてシーズン終盤に躍動した宇草孔基と才能豊かな選手が多い。
投手陣も大瀬良、九里、森下に加えて、床田寛樹、玉村昇悟など球に力のある若手左腕もいる。守護神は1年目の昨季新人で37セーブ、防御率0.86と大活躍した栗林良吏。これだけのタレントを擁しながら、3年連続Bクラスに低迷したのが不思議に感じる。
スポーツ紙デスクは来季のキーマンに、「佐々岡監督」を挙げる。
「小園、宇草はもっと早く使っても良いぐらいだった。ベテランを使い続けて新旧交代が遅れた感があります。戦力は確かに他球団に見劣りしないですが、勝負弱い。接戦で首をかしげる采配も少なくありませんでした。佐々岡監督は就任3年目で色々学んだでしょう。昨年のヤクルトで高津臣吾監督の采配が光ったように、混戦を抜け出すためにカギを握るのはベンチワークです。佐々岡監督の手腕が問われます」
球団史上初のリーグ3連覇を達成した16~18年の黄金時代を再び築けるか。
(中町顕吾)