どこに分類されているかは重要でない
その入れ替えは面白いのだけれど、それで株価が上がるわけでもないのだから、日本経済とはあまり関係ないだろう。そもそも、投資家も企業ごとに見ているのだから、それがどこに分類されているかは重要なことではなく、3軍から1軍へ上がる企業を見つけるのがポイントだ。
むしろ、日本企業の時価総額世界ランクで情けない現実のほうが注目していい。アップルは一時、世界で初めて3兆ドル(約345兆円)を超えたが、東証のすべての市場の時価総額は昨年12月で753兆円なので、アップル1社で東証の半分程度だ。
日本トップのトヨタ自動車の時価総額世界ランクは29位の0.32兆ドル(約37兆円)。かつて30年以上前のバブル崩壊前には、世界のトップ10に日本の金融機関が入っていたのが懐かしい。今のトップ10は、米巨大IT企業で、金融機関ではない。
これを見て、この30年間日本で成長企業が出なかったので、マクロ経済成長できなかったと見る人もいる。しかし、筆者の見立てはその逆で、その間、人為的に作れるマネー量不足(世界でワースト1)で、企業の成長機会がなく停滞したとみている。つまり、マクロ経済要因が原因で、結果として企業でみても時価総額が大きくならなかったというわけだ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。