北朝鮮が2022年1月11日朝、弾道ミサイルとみられる飛翔体を日本海に向けて発射した。北朝鮮によるミサイル発射は、22年に入ってから2回目。
前回1月5日発射のミサイルについて、北朝鮮側は「極超音速ミサイルの試射を行った」と主張。韓国側の分析では、今回のミサイルは前回よりも大幅に速度が増しており、発射回数を重ねることで着々と性能向上を進めているとみられる。1月12日朝には、国営メディアがミサイルの性能について誇示する可能性が高い。
1月5日のミサイルは「マッハ5以上」を推定
北朝鮮は21年9月28日に発射した「火星8」型について「極超音速ミサイル」の発射成功を主張していたが、韓国側は懐疑的な見方をしていた。聯合ニュースによると、速度が音速の5倍を指すマッハ5以上の場合に極超音速ミサイルと評価する。ただ、米韓の情報当局が検知した火星8の速度はマッハ3程度だったとして、「開発初期段階」だと評価していた。
22年1月5日のミサイルについては、700キロ飛行して「標的に誤差なく命中」したと北朝鮮側は主張。韓国軍は速度を「マッハ5以上」だと推定し、米韓が定義する極超音速ミサイルの要件を満たしていた。このミサイルについて、日本側は「通常の弾道軌道だとすれば約500キロ」飛行し、「通常の弾道ミサイルよりも低い、最高高度約50キロ程度」だと推定していた。
発射タイミングを安保理会合の終了と合わせた?
今回発射されたミサイルは、5日のものと比べて性能が向上した可能性が高い。聯合ニュースが韓国軍の合同参謀本部の話として伝えたところによると、「飛行距離は700キロ以上、最大高度は約60キロ、最大速度はマッハ10前後」。「北朝鮮が5日に発射した弾道ミサイルより進展したと評価している」という見解だ。ミサイルの詳細なスペックについては、米韓の情報当局で「精密分析中」だとしている。
ミサイル発射のタイミングも焦点だ。国連安全保障理事会は、5日のミサイルへの対応を検討する非公開の緊急会合を現地時間10日に開いている。開始時刻は日本時間で11日の早朝5時頃。ミサイル発射は、その2時間半後の7時27分頃で、会議終了から間もないタイミングだ。これが国際社会にミサイル開発をアピールする狙いがある、とみる向きもある。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)