今年の干支「寅」を象った和菓子だと思ったら「干支に入れなかった猫」だった――こんな投稿がSNS上で大きな注目を集めている。
話題となったのは、北海道の食品メーカー・日糧製パン(札幌市)が製造・販売する練り切りだ。毎年12月に、十二支を象った練り切りとともに、「干支に入れなかった猫」と称した猫の練り切りも販売している。
なぜ干支に含まれない猫の練り切りを作り始めたのか。J-CASTニュースは2022年1月5日、同社の担当者を取材した。
地域の文化風習や昔話を伝えたい
日糧製パンは2009年から、干支を象った練り切りを作っている。当時はその年の干支と、翌年の干支を販売していた。この商品が好評だったことを受け、15年からは十二支全種の販売を開始した。担当者によれば、翌年の干支や家族の干支が購入されているという。
十二支をめぐっては、動物たちが元旦に神様のもとを訪れた順で決めたという伝承がある。猫は、ねずみに誤った日時を伝えられ十二支に入ることができなかったとされている。日糧製パンは、この伝承をもとに2018年から猫の練りきりを製造した。商品名は「干支に入れなかった猫」とした。
担当者によれば、この十二支の物語に加え、北海道の文化を伝えたいという思いから、発売したという。
「北海道では『口取り』といって、鯛や蝦などの縁起物を模した和生菓子をお供えする文化もありますが、そうした風習をご存じない方も多いと思います。
このような地域の文化風習や昔から伝わるお話しについて触れたり、興味を持ってもらうきっかけにしていただきたいという思いがありましたので、あえて『干支に入(はい)れなかった猫』という個性的な商品名で発売しました」
口取りとは、北海道を中心とした文化の一つで、縁起物を象った生和菓子を年始のおせちと一緒に食べる家庭が多いとされている。