カメラ、自然への思いがつないだ「奇跡」 動物写真家・岩合光昭を支えたキヤノンの決断

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カレンダーの見どころは?

    ――トラの撮影で苦労したエピソードをお聞かせいただけますか。

「相手は森の中にいるのでなかなか出会えません。インドでトラがいつ出てくるのかなとドキドキして待っていた時、『ガサガサ』って音がしました。近くにいると聞いていたので、『来た!』と思って、現れる前からシャッターを切っていたら同行したレンジャーが出て、がっかり。結局、その日は会えませんでした。
昨今は世界中の観光客がトラを見にインドに来るようになりました。ホテルも車も数が限られているので、確保するのが大変です。経済状態が良くなると現地の方々もトラを見に来るようになり、自然保護区のルールも厳しくなりました。撮影に影響しています。」

    ――人の社会の変化が撮影に影響しているのですね。

「そうですね。でも良い面もありました。たくさん人が来るようになって密猟が少なくなりました。人の目があるから密猟者が入らなくなった。それによってトラの数が少し回復してきたのではないかと思います」

    ――今回のトラのカレンダー写真の中で印象深い1枚はどれでしょうか。

「今回のカレンダーの1-2月の写真です。大きなオスのトラです。
トラのオスの動きは面白い。オスは繁殖期になるとメスを求めて森を移動するので、遭遇しやすくなります。このトラが見つかった時、道の上にいて、他のトラの匂いを気にしているようでした。
幹の匂いを嗅いで、振り返ってこっちを見た瞬間、にたぁと笑ったように顔をゆがませました。フレーメン反応と言う動物的な反応です。フェロモンの匂いに反応しているのですが、人間でいうと『良い子がいるなぁ』といった顔でしょうか。わらっているように見えて印象深かったですね」

   キヤノンMJでも「笑っている」と好評の1枚だったそうだ。

    ――最後にカレンダーの魅力をお伝えいただけますか。

「トラの魅力、トラってすごい動物だと、今回のカレンダーで伝えられたらと思います。。これを見て『トラを見に行きたいな』って思っていただけたら嬉しいです。きっかけはいろんなところにあると思うのですが、このカレンダーが『自然を守ろう』『トラを守ろう』『動物を守ろう』といった関心につながってくれるといいなと思います」
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